Vol.2 販売管理システムの統計機能に関する検討ポイント

このコラムでは、”DX 営業人のための販売管理システムとの付き合い方”と題して、どうすれば販売管理システムの導入・運用が上手くいくのか、或いは、どの様なときに失敗しやすいかについて、システム提供側である筆者の実体験も交えてお伝えしています。

第2回である今回は、「販売管理システムの統計機能に関する検討ポイント」についてお伝えします。

販売管理システムを導入するときに、どういった統計機能があるのかを事前に確認していたにも関わらず、本運用に入ってから、実務に沿わないものだったことが判明したといった事態は避けたいところかと思います。

そういった問題を回避するために、統計機能に関して筆者が重要だと考えている検討ポイントは下記の2つです。

1)統計に必要な「切り口」をきちんと定義する。
2)生データを使いやすいエクセルファイルでダウンロード可能かを確認する。

1)統計に必要な「切り口」をきちんと定義する。

こちらは割とシンプルなポイントです。システム導入段階で想定される、統計の切り口を営業面からきちんと考える事が大切です。

例えば売上情報であれば、顧客別・商品別・期間別・担当別あたりが代表的な切り口でしょうか。
それに加えて、地域別・顧客区分別・商品区分別等、皆様の所属している組織特有の切り口も、システム導入時点で考慮しておくことが重要です。

2)生データを使いやすいエクセルファイルでダウンロード可能かを確認する

様々な統計機能が、標準で備わっている販売管理システムも多いですが、必ずしも皆様が希望している統計ができるとは限りません。また、外部環境の変化や上司の交代により、従来機能していた統計が、陳腐化してしまう可能性も十分あります。

そのときに大切なのが、「生データが使いやすいエクセルファイルでダウンロード可能」であることです。生データがダウンロードできれば、あとはエクセルを使って自由に加工、統計を取ることができるからです。

実際に筆者が目にしたことがある問題例を2件ほどあげます。

問題例1:データベースには30項目あるはずなのに、ダウンロードできるのは20項目程度。他の項目は手で補填しなければならない。

問題例2:ダウンロードしてみたら、1データ1行になっておらず、延々と手作業加工が必要。

具体的には、下図イメージの様な形でエクセルにダウンロードできたとしても、実際に統計を行うためには、人が手作業で加工をする必要があります。

この様なお困りごとを避けるために、是非2つのポイントに気を付けて、統計機能をご検討下さい。


松村 稔 プロフィール

上海レンユアー総経理

2003年から上海で日系企業向けに業務システムの構築サービスを提供。 属人化を排除しつつ、お客様独自の強みを強化する業務システム構築を得意とする。 大規模な工場系基幹システムから、クラウドを活用した商社向けの販売管理システムまで、幅広い経験を活かして、多数の大手企業のシステム導入に参画。


本誌掲載の写真 ・ 記事 ・ 図版を無断で転写 ・ 複写することを禁じます。

関連記事