営業人のためのSFA活用術vol.5

顧客マスタについて考える その4 地域属性を考える

今回は、顧客マスタで管理する項目の中で最も使用されている(ただし活用されているとは限らない)地域属性について考えたいと思います。

重要なことは、最初に地域属性の用途を考えること

地域属性は国、全国八地方区分(関東など)、都道府県、市区町に至るまで様々な粒度があります。現在のSFAのほとんどは、その項目を簡単に用意することができます。しかし、情報を正しく入力し維持すること難しいです。これは地域属性に限ったことではないのですが、大抵のシステム管理者はマスタを構築する際に、細かい情報がある方が良いと考えて、細かく項目を定義します。しかし、実際に使うユーザからすると、入力こそが最も面倒な作業であるため、「入力したデータを何に使うのか?」という目的が不明のままだと、時間が経過するにつれ、選択肢の一番上の値を選択するなど、入力が不正確になっていきます。

そのため、項目を追加するときは、必ずその用途を明確化することが重要です。例えば、「特定地区に注力する」「地域で担当者を分ける」が挙げられます。このように目的を明確化することで、

✔ どの粒度まで管理するか?が決まる。
→前者の目的の場合、極端な例ではありますが、地域属性を「東京」と「その他」の2種類で管理することが挙げられます。このように管理することで、所在地が東京都以外の顧客はターゲットとして考えないという明確な戦略になります。
✔ ユーザが目的を理解した上で入力するため、精度が上がる
→ 後者の目的の場合、営業人材がデータを正しく入力しなければ、自分の顧客(見込を含む)として確保ができなくなるといった効果が出ます。

最近のおすすめは、デジタルマーケティング上の地域と粒度を合わせること

私は、SFAの導入コンサルティングと同時にデジタルマーケティングのコンサルティングもしております。デジタルマーケティングにおいて、BtoBとBtoC商材を扱うときに最も気を付けていることは、コンバージョン(問い合わせなど目標達成を表す言葉)の意味合いだと考えています。BtoCでは「コンバージョン≒購入」、つまりゴールであり、基本的にはWEBの世界で商売が成立するものがほとんどであること(住宅などの高額商品を除く)に対し、BtoBでは大部分が「コンバージョン≒問合せ」であり、そこからが受注活動のスタートになります。そのため、デジタルマーケティングツール上でアクセスされた地域の情報は当然わかりますが、それはあくまで問合せが来た地域であり、重要なのは受注に繋がった地域の顧客量です。そのため、デジタルマーケティングでの広告の投下地域の粒度を顧客マスタにも持たせることによって、その効果測定が可能になり、広告の運用改善のための貴重な情報となります。

私が上海でお手伝いしているお客様の事例を紹介します。その会社では、元々顧客マスタの地域属性を華東地区、華南地区などの非常に大きな粒度での管理しかされていませんでした。しかもその粒度に決めた理由も特になかったため、顧客マスタ上の地域属性は、選択肢の一番上の値が選択された顧客データが異常に多いという状況になっていました。そこで、あくまでも「広告の効果を上げる」ことを目的に、広告出稿地域と同じ粒度(直轄市+省粒度)で管理するように運用を変更したところ、目的が明確化されたことで各営業人材の情報入力精度も上がりました。得られたデータから、市場ポテンシャルがある地域に広告予算の比重を高めるという判断が出来るようになりました。

地域運用テクニック

ここまでは地域属性の管理における考え方を記載しましたので、ここから管理テクニックを記載したいと思います。

① 連動型選択肢が出来ないSFAは選ばない方がいい
連動型選択肢とは、大地域->関東地方と選んだら、中地域に該当の1都6県が選べるようになる選択肢です。これが出来ないようなツールまたは柔軟に定義できないようなSFAは地域属性管理に限らず情報矛盾を起こしやすいため、SFAの検討から外すことをお勧めします。

②社内独自地域で管理する際は、他にも客観的な地域属性も管理する
社内独自の地域(Aエリアなど)は、相対的な定義のため、営業組織の体制が変わったり、販売戦略が変わったりすると、情報としての意味をなさなくなってしまいます。そのため、客観的な地域属性も管理しておくことで、社内独自で管理する地域の見直しの時にデータ整備がしやすくなります。

③住所情報は受注してから入力するという運用ルールでもいい
営業アシスタントがいる組織や名刺読込サービスなどを導入している組織は、住所情報の入力作業が問題にはならないのですが、そうではない組織にとっては入力作業が問題となってしまいます。見込の段階で住所情報を正確に入れても営業管理(受注獲得のための支援)においてはほとんど意味をなさないので、そこはわりきって見込み段階においては住所は入力しない。

以上より、今回は地域属性について記載させていただきました。
営業業務において、もっとも使う時間は、「商談」でも「資料作成」でもなく実は「移動時間」といわれています。昨今ではTV会議などが浸透してはいますが、特に顧客との関係構築段階では依然としてFace to Faceの商談が重要視されます。そのため、移動時間を考慮した営業活動ができるかどうかが重要となります。この移動時間に密接に関係する「地域属性」という情報を活用し、目標達成に向け邁進いただければ幸いです。


伊東 大輔 プロフィール

TRANSAGENTパートナー SFAコンサルタント

大学卒業後大手SFAメーカーのSE、導入コンサルタントとして従事し、200社以上のSFA導入支援コンサルティングに携わる。

その後日本国内シェアNo.1のグループウェアメーカーの中国現地法人にてSE統括兼マーケティング総監として、導入コンサルティング及び販促企画や営業組織づくりに注力し、中国進出日系ITメーカーとしては異例の導入企業1,000社突破達成に貢献した実績を持つ。

トランスエージェントに参画後はB to BマーケティングにおけるWebマーケティング(デジタルマーケティング)施策と営業行動との連動における諸問題に着目し、顧客企業に対して、その可視化と分析が実現できるSFA活用支援を行っている。


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