Vol.7 SFA導入失敗あるある①

「顧客マスタについて考える」をテーマに既に4回投稿しました。このテーマについては継続して投稿する予定ですが、今回からは、「SFA導入失敗あるある」について投稿します。

このテーマを選んだ理由は、お客様が導入したSFA(営業管理システム)を活用できていないという相談を、筆者にされる機会が増えているからです。その際にお客様からお話を伺っていると、活用できていない要因が大体パターン化されている(以下“失敗パターン”と表現)ことがわかってきました。この失敗のパターンに関してはまだ分析・調査中ではありますが、今後わかってきたことを順次投稿していきます。今回は、その中の1つをご紹介します。


【失敗パターン①】商談報告メールをシステムに置き換えただけ

これは、筆者が見てきた中で最も多いパターンです。

商談報告(組織によっては日報と表現する場合もあります)をメールで共有していたことで下記3つの課題が表面化し、商談報告をシステム化した営業組織がこのパターンに当てはまります。

  • CC地獄で何を見ていいかわからない
  • 後日検索しづらい
  • 引継ぎの時に情報が残ってない

商談報告のシステム化を検討される営業組織の特徴は2つあり、1つ目は経営責任者が営業責任者でもあること、2つ目は営業人数が10人以下であることが挙げられます。

このような場合、経営責任者は営業以外の仕事を多く抱えながら、営業活動でも陣頭指揮をとっております。そのため、多くの情報がメールボックスの中で埋もれてしまうストレスを感じている中で、その状況を「月額数万円で解決できるなら!?」という理由で導入を決定される場合が多いです。

しかしながらこのようなケースでは、商談報告をシステム化することができても、他の業務はメールのままとなっていることが多いです。そして、結果的に経営責任者の方は、システム導入後も大半の業務をメールで行い、自らシステムにログインして見るという習慣がなかなか身に付きません。現在、大抵のSFAではそういった方のためにメールやスマートフォンでの通知機能が実装されていますが、これが文明の落とし穴となります。というのはそもそも、メールを減らしたくて、システムを入れたはずなのに、通知メールを受け取ることになったら結局メールを減らせない(むしろ設定によっては増えたりする)という現象が起きてしまい、上述の課題①そのものが解決できなくなります。

“せっかくお金をかけて導入したから”ということで、導入当初は、確認・返信するのですが、時間が経過するにつれて、その目的感も忘れてしまいます。そして、課題②を解決することができるシステム導入の利点である「いつでも遡って見ることが出来る」ことが逆の作用として働き、だんだん通知メールを無視し、確認頻度や返信が減り始めます。

人は反応してくれないとどうなるか?営業メンバーの反応

中には例外の方はいますが、人間は基本的には自分が行ったことに対して、その反応を期待します。(いいね!を押してほしい、出来れば褒めてほしいなど。)つまり商談報告は、上司が見て、フィードバックをして初めて成立するのですしかし、その反応が遅いまたは少なくなってくると、営業担当社は、だんだんモチベーションもなくなり、少しずつ記載内容に手を抜きはじめます。そうなると、最後の課題③でもし退職や体制が変わり営業担当が変わった時に、使える情報がシステムに残ってないという現象が導入後、大分時間がたってわかります。

10人ぐらいの組織で、1ユーザーあたり月額2千円程度のサービスであれば、1ヶ月に負担する金額が2万円程度のため、そこまで大きな経営インパクトもありません。そのため、登録したデータがなくなったときのリスクを考えて、何となく使い続ける営業組織が多いです。

このような失敗をしないための処方箋に関しては、改めて投稿いたします。


伊東 大輔 プロフィール

TRANSAGENTパートナー SFAコンサルタント

大学卒業後大手SFAメーカーのSE、導入コンサルタントとして従事し、200社以上のSFA導入支援コンサルティングに携わる。

その後日本国内シェアNo.1のグループウェアメーカーの中国現地法人にてSE統括兼マーケティング総監として、導入コンサルティング及び販促企画や営業組織づくりに注力し、中国進出日系ITメーカーとしては異例の導入企業1,000社突破達成に貢献した実績を持つ。

トランスエージェントに参画後はB to BマーケティングにおけるWebマーケティング(デジタルマーケティング)施策と営業行動との連動における諸問題に着目し、顧客企業に対して、その可視化と分析が実現できるSFA活用支援を行っている。


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