Vol.6 営業サイドからみた販売管理システムの”在庫”の用語定義

このコラムでは、”DX 営業人のための販売管理システムとの付き合い方”と題して、どうすれば販売管理システムの導入・運用が上手くいくのか、或いは、どの様なときに失敗しやすいかについて、システム提供側である筆者の実体験も交えてお伝えしています。
第6回である今回は、「営業サイドからみた販売管理システムの”在庫”の用語定義」についてお伝えします。
販売管理システムを、外部の開発会社を使って構築する際には、様々な仕様に関する打ち合わせが必要になります。その際に大切なのが用語の定義です。営業サイドと開発サイドの用語の認識が違っていては、きちんとした打ち合わせは出来ません。そこで、今回は、”在庫”という用語に焦点をあてて、お話ししたいと思います。
以下の定義が正解ということではありませんが、開発会社の言う”在庫”が、どの用語を指しているかを判断する参考材料として、ぜひご一読ください。
在庫:全ての在庫のことを包括する表現なので、なんの在庫の事なのかは背景を共有しないとわかりません。
理論在庫:システムに表示されている在庫数のことを指します。理論上これくらいあるはず、という在庫数です。
物理在庫:現実に存在する物理的な在庫です。必ずしも理論在庫と一致するとは限らないため、その差異を調べるのが、いわゆる棚卸ですね。
倉庫別理論在庫:前述の理論在庫をさらに倉庫別に振り分けたものです。
使用可能在庫:こちらは実際に使用可能な在庫数を指します。この定義は会社ごとに違いますが、例えば理論在庫が100個あったとしても、良品倉庫に90個、不良品倉庫に10個の場合、使用可能在庫は90個となります。
或いは、理論在庫が100個あったとしても、既に他の用途に30個が引当済みの場合、営業から見た使用可能在庫は70個となります。
上記のように一口に”在庫”と言っても様々な解釈があります。
開発会社との打ち合わせの時に、受注画面に”在庫”を表示しますか?と聞かれた時は、なんの”在庫”を表示したいかを明確に伝えて、仕様間違いを防止し、是非良いシステムを一緒に作り上げてください。
松村 稔 プロフィール
上海レンユアー総経理
2003年から上海で日系企業向けに業務システムの構築サービスを提供。 属人化を排除しつつ、お客様独自の強みを強化する業務システム構築を得意とする。 大規模な工場系基幹システムから、クラウドを活用した商社向けの販売管理システムまで、幅広い経験を活かして、多数の大手企業のシステム導入に参画。

本誌掲載の写真 ・ 記事 ・ 図版を無断で転写 ・ 複写することを禁じます。