Vol.7 販売管理システムの通貨と為替計算のポイント3点

このコラムでは、”DX 営業人のための販売管理システムとの付き合い方”と題して、どうすれば販売管理システムの導入・運用が上手くいくのか、或いは、どの様なときに失敗しやすいかについて、システム提供側である筆者の実体験も交えてお伝えしています。

第7回である今回は、「販売管理システムの通貨と為替計算のポイント3点」についてお伝えします。

見積、受注、売上等々、営業サイドから見たときの販売管理業務には、さまざまな業務が存在しますが、国際取引も増えている昨今、日本円だけでは、取引が完結しないことも多くあると思います。

取引を正確にデータとして記録するのが販売管理システムの役割の一つですので、営業人として、システム上の通貨の取り扱いや、為替計算のポイントを抑えておくことで、販売管理システムと、よりうまくお付き合いできると思います。

私が普段、多通貨対応の販売管理システムを構築するにあたって、気を付けているポイントは3つあります。見積業務を例に詳しく解説します。

1)取引通貨は必ず記録しておく

例えば仕入れがUSD、売上がJPYでお見積もりを作成するとき、日本の企業の場合、仕入れ金額をJPY換算して、日本円で粗利を計算、見積もりの妥当性を判断すると思います。しかし、後からの振り返りのためにも、必ず「仕入れはUSD」という事実をシステムに残しておきましょう。

2)小数点の扱いを明確に定めておく

為替計算を行うと、ほぼ確実に計算結果に小数点が含まれます。小数点何桁で処理するのか、また、処理方法は四捨五入、切り上げ、切り捨てにするのか、等の方針を明確にしておきましょう。迷ったら、社内の財務担当者さんに確認するのが確実です。

3)為替レートの入手ルート、入手方法、タイミングを定義しておく

為替計算に使用するレートについて、

「◯◯サイト」から「月初日」に「財務担当」が、システムに設定する。

というような運用ルールを定義しておくことをお勧めします。

これらのポイントが、皆様の販売管理システムの多通貨対応の一助になれば幸いです。


松村 稔 プロフィール

上海レンユアー総経理

2003年から上海で日系企業向けに業務システムの構築サービスを提供。 属人化を排除しつつ、お客様独自の強みを強化する業務システム構築を得意とする。 大規模な工場系基幹システムから、クラウドを活用した商社向けの販売管理システムまで、幅広い経験を活かして、多数の大手企業のシステム導入に参画。


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