営業人のためのSFA活用術vol.11

SFA活用事例 案件種類の整備から始まる営業組織づくりその1

おかげさまで、執筆も今回で11回となり、読者の方から少しずつご意見を頂くようになりました。その中で多くは、「理論だけでなく実際の事例もぜひ紹介してほしい」というご意見が多くありましたので、今回は、前回ご紹介させていただいた、4つに分けた案件種類の活用事例をご紹介させていただきます。

新規案件獲得が最重要課題に

今回ご紹介する事例は、食品関連の原材料を販売している会社様です。その会社は1年前に自社都合ではなく区画整備の一環による外部理由で工場を移転しました。新しい工場は以前の工場より大きく設備も一部入れ替えて生産力が向上したことから、会社としては工場の稼働率を上げて収益拡大をすることが最重要課題となり、必然的に営業部は、新規案件開拓が最重要課題となりました。
今までの営業は、既存顧客に対して、担当を割り当て「いろいろ対応しながら」、未取引顧客に対しては、年に1回の展示会に出展して、獲得をするということが主なやり方でした。この状態で”新規案件開拓”が最重要課題となったため営業部長としては、何からどう手をつけていいかがわかりませんでした。

営業パーソンの皆さんは既に”新規案件開拓”で忙しかった

そんな中で、営業部長が最初に行ったことは、実際の各営業メンバーに自分の担当案件を洗い出してもらいながら、メンバーに現状を知るためのヒアリングをすることでした。そこでわかったことは、メンバーによって案件粒度が
・顧客粒度
・発注粒度(例 ○○弁当)
・生産ライン(例 コロッケ、ハンバーグなどの弁当の中の料理)
などバラバラかつ、今回の主題となります新規と既存の定義が
・増産を新規と考えたり、既存と考えたり
・未取引顧客からの案件のみを新規と考えたり
などなど、それぞれメンバーの解釈でリストアップされていました。そして、全員が全員「”新規案件”対応で既に忙しいのにこれからどうやって、さらに増やさないといけないのか?」という困惑からくる不安の意見でした。

SFAの導入

上記の状態がしばらく続き、営業部長も八方ふさがりになり、SFA(営業管理システム)を入れれば解決できるかも?ということで我々にご相談をいただきました。
今でこそ、当時の状況を要約して記載できますが、現状は、これ以外にもいろいろな情報が錯綜し、真の課題がわからず、我々も「こりゃまいったなー」という気持ちでした。
そこで営業部長と我々で決断したことは、商談報告や顧客マスタ整備など通常システム導入に必要な準備事項を省いて、データ整合性入力チェックなどの機能を使うためだけにSFAを導入してもらって、真の課題設定をするために案件を整備することだけに注力することでした。

システムの使い方の前に対話

毎回我々がSFA導入をお手伝いする際は、とにかく案件粒度の定義づけに多くの時間をかけます。というのは、正直言うと我々は、お客様の商材で大体、一番うまくいく案件粒度というのを想像できるのですが、お客様自体はシステムを使って営業管理をしていくことに慣れていないため、一方的に「案件粒度は○○です。それでは使い方をご説明します。」と押しつけて、お客様が腑に落ちないまま、運用を開始してもうまくいかないことが経験上わかったからです。
そこで、営業部長だけでなく、メンバーの方も巻き込んで、数回ディスカッションの場を設けました。ヒアリングしていくと例えば、○○弁当で話が進んでもコロッケは受注できてもハンバーグは失注するなどということが当たり前のように発生することから「生産ライン粒度」で統一することで意見がまとまりました。正確には代理商を通す場合もあり、代理商は同じ物を複数のエンドに出荷する場合もあるので「エンドユーザ-生産ライン粒度」単位で統一しました。
次は、案件種類です。粒度が明確になるとそこからは比較的順調に進み案件種類は
・未取引顧客(新規案件)
・既存顧客-新商品(新規案件)
・既存顧客-既存商品(既存案件)
とシンプルに定義し、改めて各自に案件状況をまとめていただきました。ここからがようやく活用事例ですが、文字数の都合上、次回に持ち越しさせていただきます。


伊東 大輔 プロフィール

TRANSAGENTパートナー SFAコンサルタント

大学卒業後大手SFAメーカーのSE、導入コンサルタントとして従事し、200社以上のSFA導入支援コンサルティングに携わる。

その後日本国内シェアNo.1のグループウェアメーカーの中国現地法人にてSE統括兼マーケティング総監として、導入コンサルティング及び販促企画や営業組織づくりに注力し、中国進出日系ITメーカーとしては異例の導入企業1,000社突破達成に貢献した実績を持つ。

トランスエージェントに参画後はB to BマーケティングにおけるWebマーケティング(デジタルマーケティング)施策と営業行動との連動における諸問題に着目し、顧客企業に対して、その可視化と分析が実現できるSFA活用支援を行っている。


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