Vol.11 販売管理システム海外展開時の「売上計上基準」について

このコラムでは、”DX 営業人のための販売管理システムとの付き合い方”と題して、どうすれば販売管理システムの導入・運用が上手くいくのか、或いは、どの様なときに失敗しやすいかについて、システム提供側である筆者の実体験も交えてお伝えしています。

第11回である今回は、「販売管理システム海外展開時の売上計上基準」についてお伝えします。

販売管理システム導入の一つの目的として、売上情報の早期且つ正確な把握がポイントになることがあると思います。

今回の記事では売上に関する日付の切り口で、システム海外展開時の注意事項について考えてみましょう。

日本における売上計上基準は「出荷ベース」が多いのではないかと思います(もちろん会社毎に違うかもしれません)。出荷=売上というシンプルなルールですね。システムに組み込む場合でも、この場合は特に注意点はありません。

ただ、システムの海外展開を考慮すると、例えば中国の場合、

財務上は所有権移転基準
税務上は発票基準(発票は物やサービスを販売したときに相手に渡す納税の証明書)
日本本社報告用は出荷基準

等、会社の中に複数の売上計上基準が存在する可能性があります。

また、原則は○○だが、実際には△△で計上している。というパターンも存在します。
前述の中国の例では、本来は財務と税務は計上基準が異なるが、管理が複雑になってしまうので、実際には同一タイミングで計上している、等のパターンです。

「売上」は営業人にとって、非常に重要な数字ですから、販売管理システムを海外に展開する場合、営業の立場からも、その拠点の売上計上基準の原則と実態をきちんと把握した上で、画面上の項目や、集計表のルール等を適切に組み込んでいくことが大切です。


松村 稔 プロフィール

上海レンユアー総経理

2003年から上海で日系企業向けに業務システムの構築サービスを提供。 属人化を排除しつつ、お客様独自の強みを強化する業務システム構築を得意とする。 大規模な工場系基幹システムから、クラウドを活用した商社向けの販売管理システムまで、幅広い経験を活かして、多数の大手企業のシステム導入に参画。


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