Vol.12 販売管理システム立ち上げ時の「データ移行」について

このコラムでは、”DX 営業人のための販売管理システムとの付き合い方”と題して、どうすれば販売管理システムの導入・運用が上手くいくのか、或いは、どの様なときに失敗しやすいかについて、システム提供側である筆者の実体験も交えてお伝えしています。

第12回である今回は、販売管理システム立ち上げ時に検討を忘れがちな、データ移行について、考えてみたいと思います。

販売管理システム立ち上げ時に営業に関係するデータ移行は、

*顧客情報
*商品情報
*受注情報
*売上情報

この辺りになるかと思います。このうち、顧客情報、商品情報は、現存データをそのまま移行すれば良いのでシンプルなのですが、難しいのが、受注情報と売上情報です。

大枠として考えなければいけないのが、過去データを移行するか、しないか。です。

過去データを移行しない場合、受注情報については、移行時の受注残のみを取り込めば良いですし、売上情報は移行の必要がありませんので、立ち上げ時の業務負荷は低くなります。
しかし、過去データが存在しないので、前年比売上等、過去対比関係の統計が活用できるのは、立ち上げから一年以降となります。

そのため、過去データを丸ごと販売管理システム立ち上げ時に移行する場合もあるのですが、これがなかなか大変です。

軽く思いつく範囲でも、

* 過去データを全て統一のレイアウトで準備
* 過去に遡って、顧客コード、商品コードを付与
* 受注と売上をきちんと関連づけた形でデータを準備
* 過去の税率の違いも考慮

等の要素を加味して、移行計画を建てる必要があります。

従って、過去データを移行すると決めた場合は、相応の時間とお金をかける前提で、きちんと事前準備をすることが肝要です。

「せっかくだから」、「ついでだから」くらいの感覚で過去データ移行を決定すると、立ち上げ直前にドタバタしてしまいますので、過去データを移行するときは入念な事前準備をして、本番立ち上げに挑みましょう。


松村 稔 プロフィール

上海レンユアー総経理

2003年から上海で日系企業向けに業務システムの構築サービスを提供。 属人化を排除しつつ、お客様独自の強みを強化する業務システム構築を得意とする。 大規模な工場系基幹システムから、クラウドを活用した商社向けの販売管理システムまで、幅広い経験を活かして、多数の大手企業のシステム導入に参画。


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