Vol.15 販売管理システム上での預託在庫の管理

このコラムでは、”営業人のための販売管理システムとの付き合い方”と題して、どうすれば販売管理システムの導入・運用が上手くいくのか、或いは、どの様なときに失敗しやすいかについて、システム提供側である筆者の実体験も交えてお伝えしています。
第15回である今回は、販売管理システム上での預託在庫管理の取り扱いについて、考えてみたいと思います。
預託在庫とは、お客様の倉庫に存在するが、自社に所有権がある在庫の事です。
一定数の製品をお客様に予め預けておき、使った分だけをお客様に実際に購入して頂くという取引です。
販売管理システムを運用する際に、「資産の所有権がどこにあるか」は常に意識をしておくべき大切な要素です。大きく下記の様な所有権移転の流れになります。
1)自社倉庫からお客様の倉庫に移動 ・・・ この段階では場所はお客様の倉庫ですが、所有権はまだ自社にあります。
2)お客様から実際に使用した数の通知がくるので、売上処理をする・・・この段階ではじめて所有権がお客様にうつります。
従いまして、生産管理システム上でも、まずは「自社倉庫からお客様の倉庫へ移動」して、その後「お客様の倉庫から実使用分を売上処理する」ことになります。結果としてその差し引きで、お客様の倉庫にある預託在庫の理論値も計算されるわけですね。
この流れを実現するために一般的には、システム上で「自社倉庫」とは別に「預託倉庫」というような倉庫を別で定義して、倉庫間での移動をシステムで処理することが多いかと思います。
預託在庫については、自社には存在していないが、あくまで所有権は自社にある資産であることを忘れずに、適切な管理方法を是非ご検討下さい。
松村 稔 プロフィール
上海レンユアー総経理
2003年から上海で日系企業向けに業務システムの構築サービスを提供。 属人化を排除しつつ、お客様独自の強みを強化する業務システム構築を得意とする。 大規模な工場系基幹システムから、クラウドを活用した商社向けの販売管理システムまで、幅広い経験を活かして、多数の大手企業のシステム導入に参画。

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