Vol.12 B to Bデジタルマーケティング活用法

こんにちは、applemint 代表の佐藤です。
台湾で、デジタルマーケティングの会社の代表を務めています。

2020年以降、コロナによって弊社は大打撃を受けました。しかし、そのような状況でも良いことがありました。それは、台湾におけるB to Bのデジタルマーケティングに関するお問い合わせが増えたことです。

コロナ以前は一件もなかったB to Bのデジタルマーケティングのお問合せがなぜ急に増えたのでしょうか。背景には、コロナによる顧客訪問の自粛があると考えられます。

では、具体的に台湾でどのようにB to Bのデジタルマーケティングをすれば良いのでしょうか?今回は台湾でのデジタルマーケティングについて具体例を用いて解説します。

接触ポイントを理解する

B to BであろうとB to Cであろうと、最初に考えないといけないことは、ターゲットと接触するポイントです。筆者は顧客にデジタルマーケティングについて説明するときは、分かりやすくターゲットを2つに分類します。

①今すぐに製品/サービスを必要としている人
②今は製品/サービスを必要としていないが、今後必要となる可能性がある人

弊社のサービスを例に解説します。弊社は、企業向けにデジタルマーケティング支援のサービスを提供しております。このサービスを今すぐに必要としている企業が存在します。これが上記①のターゲットです。

次に、現在は自社内でデジタルマーケティングの運用をしていて、外部業者の支援を必要としていないが、筆者が弊社のデジタルマーケティング支援サービスについて詳しく説明することで必要性を感じる人がいます。これが②のターゲットです。

①と②のターゲットでは接触するべきポイントが異なります。接触ポイントを間違えると、ターゲットに対して悪い印象を与えてしまう可能性があるため注意が必要です。例えば②のターゲットに対して、路上での勧誘という接触方法を選択した場合に、直接話しかけて時間を取らせることで、「時間を無駄にした」、「押し売りされた」という印象が残る可能性があります。

現在B to Bマーケティングでは、ターゲットとの接触ポイントについては、オンラインが主流になっています。

ターゲットはGoogleに集まる

皆さんの会社の製品/サービスが今すぐに必要な人、あるいは今後必要になる可能性がある人はオンラインで接触できます。ただしオンラインと言っても、非常に広いです。どうしたら効率良くオンラインでターゲットに接触できるのでしょうか。

結論から言うと、「Googleの活用」です。企業が何らかの製品/サービスの導入を検討する際に、検索エンジンを使用して検索行動をすることが非常に多いです。 検索エンジンにおけるGoogleの世界シェアは80%を越えるため、Googleを使用することでターゲットとオンラインで接触できる可能性が高まります。

仮に筆者が、食品会社に対して防腐剤を販売する会社で働いているとします。防腐剤が今必要な食品会社はどのように防腐剤を探すでしょうか。次に挙げる行動が考えられます。

1.知り合いに聞く (防腐剤を売っている会社を紹介してもらう)
2.インターネットで防腐剤を売っている会社を検索する
3.その他 (商工会議所に行くなど)

台湾ではインターネット普及率が90%を超えるため、「2.インターネットで防腐剤を売っている会社を検索する」が最も多いと考えられます。その検索行動のほとんどは、シェアが80%を超えるGoogleで行われています。

Google対策は検索広告とSEOの2つ

多くの買い手が、製品/サービスの導入検討の際にGoogleで検索行動をするため、B to Bデジタルマーケティングの第一歩は、Google 対策と言えるわけです。具体的には、ターゲットが検索する特定のキーワードで自社のウェブサイトが上位表示されるようにすることです。

特定のキーワードで上位表示させる方法は2つあります。1つ目はGoogle検索広告を出稿すること、2つ目はSEOを行うことです。SEO とは、Search Engine Optimizationの略で、特定のキーワードを検索した時に、自社のウェブサイトを上位表示させるための施策のことを指します。

まず、「①今すぐに製品/サービスを必要としている人」に対して、検索広告と SEO を行うべきであり、これは台湾に限らず日本でも同じだと筆者は考えております。

では、Google 検索広告の対策とは具体的に何をすれば良いのでしょうか?まずは、自社の商品名に関連するキーワードに広告出稿することをお勧めします。

例えば、会計システムを販売する会社であれば、「会計システム」「会計ソフト」といったキーワードに対して広告出稿することです。

次にやるべきことは、 SEO です。例えば会計システムを販売する会社であれば、「会計システム」というキーワードが検索された時に自社のウェブサイトが上位表示されるように対策を行います。

しかしSEO はウェブサイトのタイトルや、設定を少し変えるだけで改善するものではなく、コンテンツの執筆が重要となります。実際弊社のお客様ではコンテンツの執筆をしたことで、そのコンテンツを経由したウェブサイトへのアクセスが、全体の2~3割を占めるようになりました。

デジタル広告と SEO を並行して行うことで、広告に依存しなくても安定してウェブサイトにアクセスされる仕組みを作ることができます。

B to BデジタルマーケティングにおけるGoogle広告の予算

台湾で必要な広告予算はどれくらいでしょうか?業種によりますが、B to BデジタルマーケティングにおけるGoogle広告の予算は、最初の半年は運用手数料込みで毎月大体15万~20万台湾ドル (50~70万円) ぐらいが適切と思います。半年後は10-15万台湾ドル (35万~50万円) ほどでもいいと思います。

弊社がお手伝いしてる企業の場合、ソフトウェア販売企業は Google 検索広告で毎月15万台湾ドル(50万円)、計測器メーカーは毎月 6万台湾ドル(21万円)ほどかけています。

また、台湾の某超有名機械メーカーの広告費について有償ツールを使用して調べたところ、 Google 検索広告に毎月15万台湾ドル(50万円)ほど使用していることがわかりました。

今後、自社製品/サービスに興味を持ってくれそうなターゲットへのアプローチ方法

最後に、今は自社の商品/サービスを必要としていないが、今後興味を持ちそうなターゲット(潜在顧客)に対するデジタルマーケティングについて説明します。それは SNS 広告の活用です。

弊社のサービスで例えるなら、今すぐデジタルマーケティング支援が必要ではない人は Google で「デジタルマーケティング会社」と検索しないと考えられます。では「今後サービスに興味を持ちそうなターゲット(潜在顧客)」にプロモーションをするにはどうしたら良いのでしょうか。それは、SNS広告の活用です。

なぜなら、SNSには多くの人が集まっており、今後デジタルマーケティング支援を必要とする人を探しやすいからです。実際、台湾ではFacebookやLINEの利用率が90%を超えています。

しかし、SNS広告には「問い合わせ獲得」という成果につながるまでに時間と費用がかかるということを認識しておく必要があります。今すぐ製品/サービスが必要と考えていない人に、それを必要と思わせるためには何回も接触する必要があります。そのため、自発的に検索したユーザーを狙えるGoogle検索広告に比べ、費用対効果が悪くなります。

したがって、B to BデジタルマーケティングにおいてSNS広告は、Google 検索広告をしたうえで、予算に余裕がある場合に試す程度にするのが良いと考えられます。そうでない場合は、まずGoogle検索広告に予算を集中した方が良いです。

今回は、台湾での筆者の経験をもとにB to Bデジタルマーケティング施策について解説をしました。今後自社でデジタルマーケティング施策を検討する際の参考になれば幸いです。


佐藤峻 プロフィール

国際基督教大学教養学部教育学科卒。

國立政治大學國際經營管理英語修士(ビジネススクール)修了。


新卒後メーカー勤務を経て、外資系広告代理店WPP マーケティングコミュニケーションズ合同会社入社(現Wunderman Thompson Japan)

その後、台湾の日系広告代理店を経て、2017年にデジタルマーケティングの会社 applemintを台湾で起業。

外部からの出資0、人脈なし、営業経験なしから現在までに40社以上の台湾プロモーションを担当。

手がけた業種はBtoC、DtoC、BtoB、アパレル、コスメ、ホテル、ジュエリー、機械メーカーと多岐にわたる。


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