Vol.18 販売管理システムでの滞留在庫の把握と対応

このコラムでは、”営業人のための販売管理システムとの付き合い方”と題して、どうすれば販売管理システムの導入・運用が上手くいくのか、或いは、どの様なときに失敗しやすいかについて、システム提供側である筆者の実体験も交えてお伝えしています。第18回である今回は、販売管理システムでの滞留在庫の把握と対応について考えてみたいと思います。

まず滞留在庫とは、一定期間出荷がされていない商品の在庫のことを指します。

会社や商品によって、一定期間の定義は変わりますが、

「6ヶ月 出荷がされていない商品」

を滞留在庫として定義することが多いです。

当たり前のことではありますが、商品、製品は販売して初めて売上になりますから、会社としてはもちろん、営業人の立場としても、滞留在庫をあまり作りたくないと思います。

滞留在庫を正確に把握するために、販売管理システムを構築する段階で、「在庫年齢」ないし「商品別の最終出荷日、最終入荷日」をシステムで把握できるようにしておくことをおすすめします。

滞留在庫を把握した後の対応としては、次のようなことが考えられます。

・顧客起因の場合は顧客への買取交渉

・内部起因の場合は再発防止策の立案

この際に大切なことは、滞留在庫が発生した原因を業務として追いかけられるようにすることです。

これは必ずしも販売管理システムだけに関係する話ではありません。顧客からの内示の保管や、商品発注時の根拠の保管等、業務上得られた多岐に渡る情報と販売管理システム上のデータを上手く組み合わせて、発生原因を追いかけられる状態を作っておくことが理想です。

滞留在庫の発生を防ぎつつ、発生時には適切な対応が可能な体制を構築することについて、在庫管理を担当する部署に任せきりにするのではなく、営業人の方々もぜひ積極的に参画いただけたらと思います。

今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。


松村 稔 プロフィール

上海レンユアー総経理

2003年から上海で日系企業向けに業務システムの構築サービスを提供。 属人化を排除しつつ、お客様独自の強みを強化する業務システム構築を得意とする。 大規模な工場系基幹システムから、クラウドを活用した商社向けの販売管理システムまで、幅広い経験を活かして、多数の大手企業のシステム導入に参画。


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