Vol.19 販売管理システムでの無償出荷の扱い

このコラムでは、”営業人のための販売管理システムとの付き合い方”と題して、どうすれば販売管理システムの導入・運用が上手くいくのか、或いは、どの様なときに失敗しやすいかについて、システム提供側である筆者の実体験も交えてお伝えしています。
今回は、販売管理システムでの無償出荷の扱いについて考えてみたいと思います。
通常の出荷というのは、受注時に単価を取り決めて、その通りの単価で有償出荷する形だと思います。しかし、様々な取引を実施していくなかで、無償で出荷をする局面というのがあるのではないでしょうか。
販売管理システムにおいても、「無償出荷の取引をどのように記録するのか」という点が重要になります。
まず、どういった場合に無償出荷が発生するかですが、次のようことが考えられます。
サンプル品として品物を提供する。
- サンプル品として品物を提供する。
- 前回出荷物が不良品だったため、代替品で品物を提供する。
販売管理システムでの扱いを検討する際に、事前に確認しておくべき事項は、下記のようなことがあります。
- 財務上どのように扱うのか。
- 営業の統計上どのように扱うのか。例えば商品別の出荷数量・出荷金額を統計する場合に、無償分・有償分が混在しても問題ないのか。
上記のような事項を考慮しつつ、会社毎に対応方針は変わってくるかと思いますが、筆者が考える対応例を下記に挙げます。販売管理システムを導入する際に、下記の考え方を盛り込んでおくことで、その後の業務の変化にも柔軟に対応しやすいと考えます。
対応1)受注画面に「有償・無償」の区分を明確に持たせることで、後々の統計で困らないようにする。
対応2)同様に出荷画面でも「有償・無償」の区分を明確に持たせる。
対応3)出荷という形を取らずに、在庫から無償出荷分を落とすことができるような処理(例えば計画外出庫)を設ける。
対応4)出荷として処理をするか、計画外出庫として処理をするかの明確なルールを定めておく。
無償出荷は、営業人においては、自身の業績統計に関わってくる重要な事項の一つですので、皆様も是非一度考えてみてください。
今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。
松村 稔 プロフィール
上海レンユアー総経理
2003年から上海で日系企業向けに業務システムの構築サービスを提供。 属人化を排除しつつ、お客様独自の強みを強化する業務システム構築を得意とする。 大規模な工場系基幹システムから、クラウドを活用した商社向けの販売管理システムまで、幅広い経験を活かして、多数の大手企業のシステム導入に参画。

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