Vol.21 販売管理システムで商流をどこまでおいかけるか。

このコラムでは、”営業人のための販売管理システムとの付き合い方”と題して、どうすれば販売管理システムの導入・運用が上手くいくのか、或いは、どのようなときに失敗しやすいかについて、システム提供側である筆者の実体験も交えてお伝えしています。第21回である今回は、販売管理システムで商流をどこまでおいかけるかについて、考えていきたいと思います。
例えば皆様の所属されている会社が、主に代理店向けに商品の販売をしていることを想定して考えてみます。
商品の流れは、「自社→代理店→エンドユーザー」ということになります。
では、販売管理システムでどこまでの範囲の情報を把握すべきでしょうか。
必ず把握すべきは、「自社と実際の取引がある範囲」となります。
その視点においては、自社→代理店の部分で行われた取引に関して、数量・金額について販売管理システムにきちんとデータを入力・管理できるようにしておく必要があります。
では、代理店→エンドユーザの情報はどうでしょうか。この部分については下記の様な検討要素があります。
1)営業組織として、エンドユーザーまで把握をしたいか。
今後の営業戦略を練るにあたり、自社の商品が最終的にどのエンドユーザに届けられているかを把握しておく必要があるかにより、判断が変わります。
2)その情報を代理店が開示してくれるか。
仮に、それらの情報が必要であると判断した場合でも、代理店からすると、貴重なエンドユーザーの情報を販売元に開示することになりますので、目的・用途等の十分な説明が必要です。
3)代理店の情報をどのように把握するか。
この点も重要です。代理店サイドからすれば販売元への情報提供という、これまでになかった仕事が増えるわけですから、出来る限り代理店に負担をかけないような仕組みを考える必要があります。
また、さらに踏み込んで代理店の在庫まで把握しようとなった場合は、「自社→代理店→エンドユーザー」流れの差し引きで想定在庫を計算するロジックや、棚卸をどうするか等、より踏み込んだ検討が必要になります。
今回は、販売管理システム本体よりも少し周辺の話である商流に関して、販売管理システムでやるべきことと、周辺システムでやるべきこと、またその際の検討点についてお伝えしました。
今回の内容が、販売管理システム導入検討時の参考になれば幸いです。
松村 稔 プロフィール
上海レンユアー総経理
2003年から上海で日系企業向けに業務システムの構築サービスを提供。 属人化を排除しつつ、お客様独自の強みを強化する業務システム構築を得意とする。 大規模な工場系基幹システムから、クラウドを活用した商社向けの販売管理システムまで、幅広い経験を活かして、多数の大手企業のシステム導入に参画。

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