Vol.22 販売管理システムにおける納期達成率の把握

このコラムでは、「営業人のための販売管理システムとの付き合い方」と題して、どうすれば販売管理システムの導入・運用が上手くいくのか、或いは、どのようなときに失敗しやすいかについて、システム提供側である筆者の実体験も交えてお伝えしています。第22回である今回は、販売管理システムで納期達成率を把握するためのポイントについて考えていきたいと思います。

納期達成率は、営業人にとって重要な指標の一つです。お客様が商品を必要とする時に、必要な数量をきちんと届ける為の長期的な活動には、正確な納期達成率の把握が欠かせません。

納期達成率には、対顧客と対仕入先の両方の側面があります。お客様が商品を必要とする日時に商品を納品するためには、一定の余裕を持った仕入れ商品の納期も考えなければなりません。販売管理システムでは、両方の納期を管理することが可能です。

次に、納期は変動するものです。納期が変動する前提において、納期達成率を把握するためには、初期に設定した納期を保存しておく必要があります。初期納期を基準にすることで、納期の変更が発生した場合でも、正確な納期達成率を把握することができます。

他にも考慮すべき事項があります。例えば、納期を分割する場合の取り扱い方法や、元々の納期が実現不可能だった可能性などの要素にも配慮する必要があります。ただし、あまりに詳細なルールになりすぎると、運用が複雑化してしまう恐れがあるため、柔軟性を保つ必要があります。システムを構築する際には、営業側と購買側の両者がこれらの点について十分に話し合い、適切なルールを決めることが重要です。

以上、納期達成率の把握方法について考えてきました。販売管理システムをより使いこなすための参考になれば幸いです。

今回で、「営業人のための販売管理システムとの付き合い方」は最終回となります。営業は契約締結がゴールではなく、契約後も顧客との長く深い関係構築が不可欠です。その中で、全ての取引情報が保存されている販売管理システムは、営業人にとって非常に重要なツールとなります。販売管理システムの活用について、問題意識を高めていただき、データを有効活用できる営業人を目指していただけたらと思います。


松村 稔 プロフィール

上海レンユアー総経理

2003年から上海で日系企業向けに業務システムの構築サービスを提供。 属人化を排除しつつ、お客様独自の強みを強化する業務システム構築を得意とする。 大規模な工場系基幹システムから、クラウドを活用した商社向けの販売管理システムまで、幅広い経験を活かして、多数の大手企業のシステム導入に参画。


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