Vol.51 コンフリクト・マネジメント 後編 鈴木有香
交渉とは、ズルいものでも怖いものでもありません。限られた資源を奪い合うのではなく、むしろ大きく育てていく創造的なスキルです。自分と交渉相手、社会とをつなぎゆたかにする、これからの時代の交渉学を知ってみませんか。この番組では、対談形式で身近な事例から交渉の真の価値を皆さまにお伝えしていきます。
コンフリクト・マネジメント 後編 鈴木有香
前回に引き続き、鈴木有香氏が翻訳を担当した『コンフリクト・マネジメントの教科書』(東洋経済新報社)という書籍をもとに、コンフリクト・マネジメントにおける権力(パワー)と感情についてお話いただきました。
◎鈴木有香氏のご経歴
米国のコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジにて修士号(国際教育開発)取得。
上智大学大学院文学研究科教育学専攻博士後期課程修了。
ヴァンダービルト大学、カリフォルニア大学、カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校講師を経て、現在、関西大学大学院、明治大学、桜美林大学等の教壇に立つ。早稲田大学紛争交渉研究所招聘研究員。
また、異文化教育コンサルタントとして、企業や様々な組織の研修(コンフリクト・マネジメント、ADR、異文化コミュニケーション、リーダーシップ、ダイバーシィティ)のプログラム開発、教材作成、トレーニングに携わる。
2005年より、株式会社トランスエージェントの講師をつとめる。
専攻:コンフリクト・マネジメント、異文化コミュニケーション、異文化間教育
主な論文、翻訳、著書:
「『阿吽の呼吸』が終焉する時代:平成不況後に企業の求める異文化間コミュニケーション能力」(2009)(『異文化間教育』異文化間教育学会(共著))
「科目『協調的交渉論』の教育的意義:「ディープ・アクティブラーニング」の視点から」(2017)(関西大学総合情報学部紀要『情報研究』46号(久保田真弓と共著))
『コンフリクト・マネジメントの教科書』(“Making Conflict Works” Peter T. Coleman & Robert Ferguson著の翻訳) (2020)東洋経済新報社」
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【TODAY’S TOPICS】
◎コンフリクト分析の際、留意すべき要素
・一次パワー:善悪や重要度など、場の性質を決定づける力
例)法律・道徳・職場慣行・常識など
・二次パワー:他者に影響を与えようとする戦略・戦術
例)脅し・説得・なだめる・褒めるなど
※交渉の場の分析時には、言動だけでなく、場を形成する一次パワーも含めて考えていくことが大切
◎コンフリクト・マネジメントにおける感情のポイント
・否定感情は必ずしも悪いものではない
・否定的な経験とそれに伴う否定感情の影響は大きい
・感情は記憶と連動して貯蔵される
※職場と家庭での実験:1回の否定感情をカバーするには4~5倍の肯定感情が必要
◎人間は相手とのコンフリクト状況を3つの点から瞬時に無意識レベルで判断している
・相手との人間関係
・相手との目的共有度
・相手とのパワーや権力の違い
◎無意識による状況判断を意識化するための3つの問い
・自分にとっての相手の重要度を考える
・相手と自分の目的の一致度を考える
・相手と自分の力関係を考える
お聞きいただきありがとうございました。
交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、
「交渉アナリスト」のサイトをご覧ください。
◎伝える人:安藤雅旺(あんどうまさあき)・株式会社トランスエージェント代表取締役。NPO法人日本交渉協会代表理事。「仁の循環・合一の実現」を理念に、交渉力協働力向上支援事業、BtoB営業マーケティング支援事業などを展開している。
著書:『心理戦に負けない極意(共著)』PHP出版・『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』日刊工業新聞社・『交渉学ノススメ(監修)』生産性出版・『論語営業のすすめ』生産性出版
◎聞く人:星野良太・人まず株式会社代表。コピーライター・講師。声の対談メディアWorkTeller主催。
著書:「コロナ時代に、オンラインでコーチングをはじめてみた。」
【運営】
日本交渉学協会/高い交渉力を持ち社会に貢献できる人物を「交渉アナリスト」資格として認定する活動や、交渉力向上に役立つ情報発信、企業や大学、行政機関での交渉力普及のための研修コンテンツの提供などを実施。
【関連資格】
交渉アナリスト/MBAレベルの交渉学の知識と交渉技術を兼ね備えた、交渉の実践者を認定する資格。