Vol.91 孫子で読む交渉学⑦「勢篇」その2 窪田恭史


交渉とは、ズルいものでも怖いものでもありません。限られた資源を奪い合うのではなく、むしろ大きく育てていく創造的なスキルです。自分と交渉相手、社会とをつなぎゆたかにする、これからの時代の交渉学を知ってみませんか。この番組では、対談形式で身近な事例から交渉の真の価値を皆さまにお伝えしていきます。
Vol.91 孫子で読む交渉学⑦「勢篇」その2 窪田恭史
今回も、日本交渉協会常務理事でありナカノ株式会社代表取締役の窪田恭史さんをゲストにお迎えし、「孫子の兵法で読む交渉学」シリーズの第7回をお届けします。テーマは『勢篇』その2。「正(せい)と奇(き)」の戦術概念をもとに、分配型交渉で用いられる代表的なテクニックを解説いただきました。
さらに、交渉において極めて重要な「タイミング」についても、日常のたとえ話を交えてわかりやすくご説明いただいています。
◎窪田恭史氏のご経歴
日本交渉協会 常務理事/燮(やわらぎ)会 幹事
ナカノ株式会社 代表取締役
日本古着リサイクル輸出組合 理事長
表情分析、FACS認定コーダー
日本筆跡心理学協会 筆跡アドバイザーマスター
早稲田大学政治経済学部卒
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)におけるコンサルティングおよび研修講師業務を経て、衣類のリサイクルを90年手がけるナカノ株式会社に入社。2024年より代表取締役社長に就任。
2012年、交渉アナリスト1級取得。
日本交渉協会燮会幹事として、交渉理論研究を担当。
「交渉分析」という理論分野を日本に紹介し、交渉アナリスト・ニュースレターにて連載中。
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【TODAY’S TOPICS】
◎「正と奇、虚」の観点で見る分配型交渉の戦術
1. 立場固定戦術
「奇」:自分の立場・「正」:相手の譲歩結果
2. 極端な要求
「奇」:極端な要求・「正」:留保点に近づけた相手の要求
3. ドア・イン・ザ・フェイス
「奇」:断られる可能性の高い最初の要求・「正」:2番目の要求
「虚」:相手に生じた返報性
4. 善玉・悪玉戦術
「奇」:悪玉による理不尽な要求・「正」:善玉による妥当な要求
5. フット・イン・ザ・ドア
「奇」:最初に提示する小さな要求・「正」:最後の最も大きな要求
「虚」:一貫性のある人間として見られたい心理
6. かじり戦術
「虚」:交渉を早く終わらせたい気持ち
7. おとり戦術(ショッピングリスト戦術)
「奇」:重要だと偽った重要性の低い項目・「正」:重要な項目における大幅な譲歩
8. 口車戦術
「奇」:相手が判断できない程大量の情報提示や、専門用語を駆使した複雑な話
「虚」:早く高い認知負荷から逃れたい心理
9. 時間のプレッシャー戦術
「虚」:制限時間の設定により、相手に生まれる圧力
◎交渉における「タイミング」の力
・交渉すべきタイミング:自分の交渉力が高いとき・相手に受け入れる用意があるとき
例)家庭内でのお小遣い交渉
・最適なタイミングを測ろうとするあまり、チャンスそのものを逃してしまうのも問題
例)コロナ禍におけるマスク需給の見極め
お聞きいただきありがとうございました。
交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、
「交渉アナリスト」のサイトをご覧ください。
◎伝える人:安藤雅旺(あんどうまさあき)・株式会社トランスエージェント代表取締役。NPO法人日本交渉協会代表理事。「仁の循環・合一の実現」を理念に、交渉力協働力向上支援事業、BtoB営業マーケティング支援事業などを展開している。
著書:『心理戦に負けない極意(共著)』PHP出版・『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』日刊工業新聞社・『交渉学ノススメ(監修)』生産性出版・『論語営業のすすめ』生産性出版
◎聞く人:星野良太・人まず株式会社代表。コピーライター・講師。声の対談メディアWorkTeller主催。
著書:「コロナ時代に、オンラインでコーチングをはじめてみた。」
【運営】
日本交渉学協会/高い交渉力を持ち社会に貢献できる人物を「交渉アナリスト」資格として認定する活動や、交渉力向上に役立つ情報発信、企業や大学、行政機関での交渉力普及のための研修コンテンツの提供などを実施。
【関連資格】
交渉アナリスト/MBAレベルの交渉学の知識と交渉技術を兼ね備えた、交渉の実践者を認定する資格。