Vol.92 「交渉学教科書」⑪ 交渉決裂への対処 安藤雅旺


交渉とは、ズルいものでも怖いものでもありません。限られた資源を奪い合うのではなく、むしろ大きく育てていく創造的なスキルです。自分と交渉相手、社会とをつなぎゆたかにする、これからの時代の交渉学を知ってみませんか。この番組では、対談形式で身近な事例から交渉の真の価値を皆さまにお伝えしていきます。
Vol.92 「交渉学教科書」⑪ 交渉決裂への対処 安藤雅旺
引き続き『交渉学教科書 今を生きる術』(R.J.レビスキー, D.M.サンダーズ, J.W.ミントン 著/藤田忠 監訳 各務洋子, 熊田聖, 篠原美登里 訳)をテキストとして、今回は「交渉決裂への対処」をテーマにお話しします。感情的な対立が激化し交渉が破綻しかけた際に、どのようにして再び対話の軌道に乗せ、分配型交渉から統合型交渉へと転換していくかを深掘っていきます。
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【TODAY’S TOPICS】
◎交渉決裂が起こる典型的な状況
・怒りや不満、不審や敵意が渦巻き、意思疎通が停止する
・相手を非難し合い、非難に耳を傾けない状態
・交渉の焦点がぼやけ、間違った争点が増える
・相違点ばかりが強調され、合意可能な領域を見失う
・強硬な態度や脅し、事実の偽造などで相手を従わせようとする
◎まず感情の鎮静化が最重要
・交渉内容よりも、まず緊張と感情の緩和を図る
・冗談や笑いを使い緊張を和らげる
・時には怒りを吐き出させることが感情浄化につながる場合もある
・相手の気持ちを認め、傾聴し、理解を示す姿勢の大切さ
◎緊張緩和の具体策
・時には一旦交渉を休止し、距離を置くことも重要
・段階的かつ相互に主導し合いながら緊張を和らげるアプローチ
・まず対立を解消したい側が小さな譲歩(歩み寄り)を示し、その際に「緊張緩和を目的としている」ことを明確に伝える
・譲歩や取り決めたことは必ず約束通り守る決意を双方が共有することが信頼回復に不可欠
◎役柄逆転による理解深化
・相手の立場や視点を演じてみることで新たな発見を得る
・ロールプレイやディベートを活用し相手理解を促進
・営業現場でも効果的な技法として推奨
◎「ハイプレッシャー対応交渉研修」の紹介
・感情的で圧力の強い相手への対応技術を磨く研修
・IT大手企業との共同開発による実践的プログラム
・ロールプレイ中心の1日コースで実際の高圧的状況を想定
・現在は企業内研修として実施、詳細はお問い合わせを
参照URL:https://transagent.co.jp/service/nc
お聞きいただきありがとうございました。
交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、
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◎伝える人:安藤雅旺(あんどうまさあき)・株式会社トランスエージェント代表取締役。NPO法人日本交渉協会代表理事。「仁の循環・合一の実現」を理念に、交渉力協働力向上支援事業、BtoB営業マーケティング支援事業などを展開している。
著書:『心理戦に負けない極意(共著)』PHP出版・『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』日刊工業新聞社・『交渉学ノススメ(監修)』生産性出版・『論語営業のすすめ』生産性出版
◎聞く人:星野良太・人まず株式会社代表。コピーライター・講師。声の対談メディアWorkTeller主催。
著書:「コロナ時代に、オンラインでコーチングをはじめてみた。」
【運営】
日本交渉学協会/高い交渉力を持ち社会に貢献できる人物を「交渉アナリスト」資格として認定する活動や、交渉力向上に役立つ情報発信、企業や大学、行政機関での交渉力普及のための研修コンテンツの提供などを実施。
【関連資格】
交渉アナリスト/MBAレベルの交渉学の知識と交渉技術を兼ね備えた、交渉の実践者を認定する資格。