Vol.117 孫子の兵法で読む交渉学⑭「九変篇」その1 窪田恭史

交渉とは、ズルいものでも怖いものでもありません。限られた資源を奪い合うのではなく、むしろ大きく育てていく創造的なスキルです。自分と交渉相手、社会とをつなぎゆたかにする、これからの時代の交渉学を知ってみませんか。この番組では、対談形式で身近な事例から交渉の真の価値を皆さまにお伝えしていきます。
Vol.117 孫子の兵法で読む交渉学⑭「九変篇」その1 窪田恭史
前回に引き続き、日本交渉協会常務理事でありナカノ株式会社代表取締役の窪田恭史氏をゲストにお迎えしています。今回から取り上げるテーマは、孫子第八篇「九変(きゅうへん)篇」です。「九変」とは文字通り9つの変化を指しますが、本質的には「状況の果てしない変化(無限の変化)」を意味します。原則通りに相手が動くとは限らない交渉や戦いにおいて、不測の事態にいかに臨機応変に対応するか。今回は『三国志』に登場する「泣いて馬謖(ばしょく)を斬る」のエピソードを交えながら、リーダーに求められる柔軟な判断力と、将が陥りやすい「5つの危険」について考察します。
◎窪田恭史氏のご経歴
日本交渉協会 常務理事/燮(やわらぎ)会 幹事
ナカノ株式会社 代表取締役
日本古着リサイクル輸出組合 理事長
表情分析、FACS認定コーダー
日本筆跡心理学協会 筆跡アドバイザーマスター
早稲田大学政治経済学部卒
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)でのコンサル業務を経てナカノ株式会社に入社、2024年より現職。
「交渉分析」理論の日本への導入にも尽力。
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【TODAY’S TOPICS】
◎「九変篇」が教える臨機応変さ
・戦争や交渉は相手がある行為であり、環境も刻々と変化する。
・原則論(定石)だけに囚われず、状況に応じて柔軟に判断を変える「将の力量」が問われる。
◎ケーススタディ:馬謖の失敗と韓信の成功
・『三国志』の街亭の戦いにおいて、馬謖は「高地に陣取る」というセオリーに固執し、水を断たれて惨敗した(準備なき楽観)。
・一方、漢の名将・韓信の「背水の陣」は、追い詰められたのではなく、敵を油断させるための周到な計算があった。
・戦いながら勝算を探すのではなく、勝算を持って戦うことの重要性。
◎九変篇で示される、特徴的な地形とその対処法
1.泛地(はんち):地盤が悪く宿営に適さない。
2.衢地(くち):国境の要衝。他国との友好関係を築くべき。
3.絶地(ぜっち):敵国奥深くの場所。重要でない城に固執せず素早く離れるべき 。
4.囲地(いち):山などに囲まれた狭い場所。包囲されやすいため注意が必要。
5.死地(しち):退路がなく絶体絶命の場所。全力で戦うしか生き残る道がない。
◎リーダーを滅ぼす「五危(ごき)」
どんなに望ましい資質も、行きすぎれば欠点になる可能性がある。
1.必死(ひっし):勇猛さも行き過ぎれば蛮勇になる危険がある。
2.必生(ひっしょう):生き残ることに執着しすぎると、臆病になる。
3.忿速(ふんそく):決断の速さが、軽率に変わる可能性もある。
4.廉潔(れんけつ):清廉潔白さが裏目に出て利用されてしまう。
5.愛民(あいみん):部下や民を愛しすぎると、大局を見失うことがある。
※大切なのは、常に変化に柔軟に対応できる力。
お聞きいただきありがとうございました。
交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、
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◎伝える人:安藤雅旺(あんどうまさあき)・株式会社トランスエージェント代表取締役。NPO法人日本交渉協会代表理事。「仁の循環・合一の実現」を理念に、交渉力協働力向上支援事業、BtoB営業マーケティング支援事業などを展開している。
著書:『心理戦に負けない極意(共著)』PHP出版・『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』日刊工業新聞社・『交渉学ノススメ(監修)』生産性出版・『論語営業のすすめ』生産性出版
◎聞く人:星野良太・人まず株式会社代表。コピーライター・講師。声の対談メディアWorkTeller主催。
著書:「コロナ時代に、オンラインでコーチングをはじめてみた。」
【運営】
日本交渉学協会/高い交渉力を持ち社会に貢献できる人物を「交渉アナリスト」資格として認定する活動や、交渉力向上に役立つ情報発信、企業や大学、行政機関での交渉力普及のための研修コンテンツの提供などを実施。
【関連資格】
交渉アナリスト/MBAレベルの交渉学の知識と交渉技術を兼ね備えた、交渉の実践者を認定する資格。





