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営業のあり方 BEING

論語営業の実践 ~ 断りにめげない持続力~ 論語営業マインド「義」「勇」の醸成と実践 第2ステップ「義を見出す」  ~論語営業のすすめ⑬

営業人.com代表 安藤 雅旺

論語営業の実践 ~ 断りにめげない持続力~ 論語営業マインド「義」「勇」の醸成と実践 第2ステップ「義を見出す」  ~論語営業のすすめ⑬

第2ステップ 「義を見出す」
不撓不屈~断りを乗り越える原動力の火を灯す

それでは断られるのが当たり前の状況を苦にすることなく、前に進んでいくにはどうすればよいのでしょうか。この壁を乗り越えていく原動力は人によってさまざまですが、もっとも強力なものは、自身の人生や仕事において大きな目的・志をもつこと、その目的・志と現在の営業の仕事がつながっている状況にすることだと思います。しかし現実的にはこうした状況をいきなり創り出すのは難しいかもしれません。特に若い人であれば人生や仕事の目的・志はこれから作っていく段階にあるのかもしれないからです。

そのため、断られるのが当たり前の状況を苦にすることなく、前に進んでいく原動力を生み出していくための現実的な第一歩として「小さな義を見出し積み重ねていくこと」が挙げられます。ここでいう「小さな義」とは自身が扱っている商品・サービスの顧客に対するお役立ちの実際の事例・効用のことを指します。自社の商品サービスがどのように顧客に役立っているのか、お役立ちの中身についてしっかりと分析することです。

相手の断りにひるむ大きな原因の一つとして「必要とされていないこと」→「役に立たない」→「自信喪失」→「行動力低下」という流れがあります。しかし現実にはすでにリリースされている商品・サービスであれば必ずお役に立てている顧客が存在しているはずです。まずはそこに着目して、自社の商品サービスがどんな点でお役に立てているのか、どのような顧客のどんな課題、ニーズに対して、どのように自社商品・サービスが使われているのか、どんな点(特徴)を評価していただいているのか、どんな効用が生み出されているのかについて徹底的に調べることが重要です。こうした知は社内の人やデータベースに蓄積されています。チャンスがあれば既存顧客から聞くことも考えられます。自分から主体的に情報収集を行うことでまずは「お役立ちの実際の事例」に数多く触れることが大切です。このことによりお役立ちの実感が涌いてくれば、「必ずお役に立てる顧客は存在する。お役に立てる点がある」ことがわかり、「自社の商品・サービスに対する誇りや愛着」「自分はお役に立てる存在である」といった信念を構築していくことができます。このことが断りを乗り越える原動力として自らの中に火を灯すきっかけになるのです。

君子は義に喩(さと)り小人は利に喩る 里仁第四
君子は正義に明るく、小人は利益に明るい。 (『論語』金谷治訳注 岩波文庫)
論語営業解釈: 立派な営業は常に相手にとってのお役立ちを考える。未熟な営業は常に目先の自身の利を考える。

またさらに対象を広げて商品・サービスを提供している自社理解について探究することも重要です。次のステップとして「小さな義の背景にある大きな義を見出す努力をすること」も原動力を生み出すことにつながると思います。現在まで自社が存続しているという事実の背景には、必ず確実に顧客や社会のお役に立ってきた歴史があります。創業者は何を考えて、会社を作ったのか、どのようなビジョンを描いていたのか、自社を支えてきた先人はどのような考えを持って事業を行ってきたのか、顧客や社会へのお役立ちはどのような変遷を辿ってきたのか、現在の経営陣はどのような価値観を大切にし、何を使命と考え、どのような未来を描いているのかなど、自社理解を深めるための問いを立て、自分なりに情報収集していくことも有効です。そのことにより、それまで気が付かなかった「大きな義」を見出せることもあるでしょう。また、仮にそこに「大きな義」を見出せなくても、自社ならではの良さや、自身が共感できる点を見つけることができれば営業の原動力につながるはずです。今日の自社の状況を作り上げてきた多くの先人への敬意と感謝の念が涌いてくることもあるかもしれません。現在の自分の足元、立っている組織の根本を深堀することが、断りにひるまず、挑み続ける自身の原動力につながるのです。


安藤 雅旺 プロフィール

株式会社トランスエージェント 代表取締役
NPO法人日本交渉協会 代表理事


二松学舎大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修士課程修了(経営管理学修士MBA)
株式会社ジェック(人材開発・組織開発コンサルティング業)での営業経験を経て独立。
2001年株式会社トランスエージェントを設立。
2006年上海に中国法人上海創志企業管理諮詢公司を設立。
「仁の循環・合一の実現」を理念に、マネジメント・イノベーション支援事業、
交渉力・協働力向上支援事業、BtoB営業・マーケティング支援事業を展開している。


主な論文・著書
「中国進出日系企業の産業財市場における顧客インターフェイスの研究」
Strategy for Managing Customer Interface taken by Japanese B to B Marketers in China
~Effective Business Activities in Developing Customer-Supplier Relationship in China~
(立教大学大学院MBAプログラム2011年度優秀論文賞受賞)


『心理戦に負けない極意(共著)』(PHP研究所 2009)
『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』(日刊工業新聞社 2013)
『交渉学ノススメ(監修)』(生産性出版 2017)
『論語営業のすすめ』 (生産性出版 2021)
『论语和营业人』 (今日出版 2025)


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