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営業力強化 パーソナルスキル

vol.9応酬話法について② FABE法

営業力強化 パーソナルスキルvol.9

応酬話法について② FABE法

第9回 応酬話法について② FABE法

本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業人材を対象にお送りするコラムです。時代の流れとともに営業のやり方は変わっていきますが、営業の本質である「量×質」という法則についてはいつの時代も変わりません。本コラムでは、営業力強化につながるパーソナルスキルについてお伝えしていきます。

今回も、前回に引き続き応酬話法について解説します。
応酬話法とは、商談で見込み客からのお断りや反対に対して切り返す技術のことを指し、その目的は見込み客の説得ではなく、自社の製品・サービスについて正しく認識していただくことであるとお伝えしました。見込み客は、自社の問題解決につながる製品やサービスを常に探しており、商談では営業パーソンが紹介する製品・サービスが自社の問題解決につながる判断材料を集めております。

今回は、見込み客が同業他社の製品・サービスを使用中もしくは検討中の際の応酬話法について考えていきたいと思います。

この状況における応酬話法では、
-同業他社と比較した自社製品の優位性がどこにあるのか?
-その優位性が、見込み客にどんなメリットを生み出すのか?
を的確に伝える必要があります。

FABEフレームワーク

そこでご紹介したいフレームワークが、”FABE”です。
”FABE”は次の単語の頭文字をとっています。

Feature 特徴 
Advantage 優位性
Benefit 利益 
Evidence 証拠 

Feature 特徴:営業パーソンが紹介する製品・サービスの特徴を伝えます。特徴を伝える際には、 “一言でいうと何か”を意識することが重要です。あまり長々と伝えないように気をつけましょう。

Advantage 優位性:ここでは、同業他社製品・サービスと比べてどんな優位性があるのかを伝えます。優位性を伝えるためには、同業他社と自社の製品について深く知ることが必要です。

Benefit 利益:導入した場合に見込み客が得られる価値を指します。見込み客によって得たい価値は違うため、見込み客のニーズに沿って伝える内容を変化させる必要があります。

Evidence証拠:これは提案内容を裏付けるデータや、実績などを指します。サービスを販売されている営業パーソンにおいては、他社事例をお伝えすることが良いかと思われます。

事例を紹介します。

ケース:SFA導入の営業

商談での見込み客の発言:弊社はグローバルシェアNo.1であるS社のSFAを利用しており、N社に開発と導入・運用支援を委託しています。5年前に導入し、運用も安定しております。ただ、5年前と現在では、弊社のビジネスモデルが変わり、それに伴って営業方針も大きく変化しております。そのため現在運用しているシステムの仕様変更を行うのか、他社製品に切り替えるべきかを検討しております。

F:弊社のSFA導入支援サービスは、C社のKという製品を活用してSFAを構築しています。その製品の一番の特徴はシステム構築における自由度の高さです。

A:S社の製品と比べ、導入までの開発期間が短く、導入後の仕様変更がある程度容易にできるという優位性がございます。

B:そのため、今回御社で起きたようなビジネスモデルの変更や営業管理方針の変更の際にもタイムリーに対応ができ、開発費用も抑えられるという点でお役に立てます。

E:計測器を販売しているH社の営業組織では、市場規模拡大を狙い、それまでの総代理店制から、販売代理店増加の意思決定を行いました。その営業方針の大幅な転換と同時にSFAも大幅な仕様変更が必要となりましたが、1ヶ月で開発が完了しました。

FABEを活用する場合の注意点

FABEを活用した営業トークにおいて気をつけなければならない点は、見込み客に同業他社批判と捉えられないようにすることです。そのため、〇〇社の製品は△△の機能がないため、弊社製品より“使いづらい”といった個人的見解を加えた営業トークは避け、見込み客が導入可否の判断をできるような事実情報をお伝えするようにしましょう。

同業他社を引き合いに出して、自社の優位性を伝えるということは経験の浅い営業パーソンにとっては難易度が高いかと思われます。特に、同業他社と比べた自社の優位性を伝える応酬話法については、事前準備が必要です。すぐにでも行えることは、一般的にどの会社でも準備されている、同業他社との比較表を営業パーソンが読み込み、今回ご紹介したフレームに沿って営業トークに落とし込むことです。その他にもできることはあります。その一つとして、ベテラン営業パーソンへのインタビューが挙げられます。ベテラン営業パーソンは見込み客の反対を数多く受けてきており、見込み客に刺さるトークや、絶対NGなトークについてよく知っています。しかし、それが体系化されておらず、無意識的に営業トークに落とし込まれていることが多いです。インタビューにおいては、営業トークを教えてもらうだけでなく、何故その言い回しをするのか、何故その事例を伝えるのかなど営業トークを聞いているだけでは見えないベテラン営業パーソンの中にある叡智を、言語化することを意識してください。ベテラン営業パーソンの叡智を自分の力に変えることで成長スピードを高めることができます。

本日ご紹介した内容が、同業他社と比較した優位性を見込み客へ伝えることに苦手意識を持っていた方にとって参考になれば幸いです。


筧 裕介 プロフィール

トランスエージェント上海 総経理

愛知県出身 信州大学卒業

大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入団。
その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。

09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。

2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。


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