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営業力強化 パーソナルスキル

Vol.24 顧客を惹きつける性格・人柄

本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業パーソンを対象にお送りするコラムです。時代の流れとともに営業のやり方は変わっていきますが、営業の本質である「量×質」という成功法則についてはいつの時代も変わりません。本コラムでは、営業力強化につながるパーソナルスキルについてお伝えしていきます。

前回は、セールスエッセンシャルと題して、営業パーソンとして備えるべき本質について解説しました。セールスエッセンシャルが一定レベルに達していないと、営業としてのスタートラインには立てないこと、セールスエッセンシャルが一定のレベルにあるかどうかを自分で判断することは難しいということを、筆者の体験した事例から説明しました。

今回は、顧客を惹きつける性格・人柄について解説します。

顧客を惹きつける性格・人柄

営業パーソンにとって、顧客に好かれる性格であることは非常に重要です。また、高業績を上げる営業パーソンは、以下に挙げる顧客を惹きつける性格的特徴を1つ以上有しています。

1.明るさ:ユーモアのセンスがあり、特に顧客が緊張状態にある場合や、コミュニケーション上対応の仕方に困る場合に、ユーモアを交えて応じることでコミュニケーションを円滑にする。

2.穏やかさ:精神的に常に安定しており、温厚でバランス感覚に優れている。特に、クレームや苦情を円滑に解決でき、けんかや争いをしない。

3.主張性:顧客の利益のために言うべきことははっきりと言う鋭さがある。

4.迅速さ:いつでも顧客の要望に応えられるように準備しており、仕事が速い。

5.関心:顧客に対して「買ってくれるかどうか」だけでなく、人間的に関心を持っている。

6.喜び:仕事をすること、顧客に会うことを喜んでいる。不平不満を口にしない。

7.寛容:顧客のわがままや理解の及ばない点を寛容に受け止めて対応できる。

8.忠実:真心を込めて職務を遂行し、労苦をいとわない。

9.自制:自分の感情や欲望をコントロールでき、ストレスに強い。

引用:セールスの教科書(特定非営利活動法人セールスコーチング協会)

筆者が見た顧客を惹きつける性格の営業パーソン

■日本人営業パーソンの事例

Aさんは筆者のライバル企業の営業パーソンです。顧客から「迅速さと忠実さで非常に信頼できる」と評価されていました。Aさんは顧客がスケジュールの都合で参加できないセミナーに参加し、その議事録をセミナー終了後に顧客へメールで共有しました。顧客は、Aさんに依頼したわけではなく、商談の際に「あのセミナー行きたかったけど、スケジュールの関係で行けなくなった」と言っただけだったそうです。顧客はその迅速な対応と忠実さに驚き、信頼を寄せるようになりました。筆者はAさんのことを強く意識し、嫉妬心を抱くほどでしたが、その姿勢から多くを学びました。

■中国人営業パーソンの事例

中国人の営業パーソンであるBさんは、明るくユーモアのある性格ですが、何よりも顧客に対する関心が非常に高かった人です。Bさんは顧客担当者の個人的事情に強く関心を持ち、仕事の悩みだけでなく個人的な悩みまで聞き、それをしっかり覚えていました。商談の際にはさりげなくそのことに触れ、顧客から「よく覚えてくれていたね」と感謝されることが多々ありました。このような関心の高さが顧客からの信頼を勝ち取り、好成績を上げる要因となっていました。これは人間関係を重視する中国の商習慣を表す大変興味深い事例です。

自分らしさを大切に

ここで大切なことは、自分らしさを見失わないことです。ここに挙げる9つの全てを備えようとする必要はありません。何故ならば、好業績の要因は性格と人柄だけではないからです。顧客を惹きつける性格・人柄は、顧客開拓時の早急な関係構築にはつながりますが、それだけで受注にはつながりません。

まずは、自分の中に顧客を惹きつける性格・人柄でどんな点があるのかを自問自答してみてください。そして、1つ見つけたらそれを意識的に伸ばすようにしましょう。それ以外のことを無理をして伸ばそうとすることや、自分より好業績の同僚を見て、その人達の性格を自分が持ち合わせていないことがダメな原因であると考えることはやめるべきです。

例えば、好業績の先輩営業パーソンが非常にユーモアのある明るい人材だとしましょう。もし、現在自分の業績が芳しくない場合、そこに原因を求めてしまうこともあるでしょう。もし、自分の強みが明るさであったならばその先輩の行動の仕方を真似することは良いかもしれません。ただ、自分には気の利いたユーモアのある発言はできないけど、顧客のわがままにも対応できる寛容さと真心こめて職務に徹する忠実さを持ち合わせているなら、それを伸ばすことが大切です。自分に無い特性を持つ他者の影響を受け過ぎることなく、自分自身の特性を活かすことが肝要です。

自分らしさを大切にし、持っている特性を最大限に活かすことで、自然と顧客に好かれる営業パーソンになれるでしょう。

次回は、顧客に嫌悪感を与える性格・人柄について解説します。

筧 裕介 プロフィール

トランスエージェント上海 総経理

愛知県出身 信州大学卒業

大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入所。
その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。

09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。

2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。

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