Vol.72 「交渉学教科書」交渉の基礎知識について① 安藤雅旺
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交渉とは、ズルいものでも怖いものでもありません。限られた資源を奪い合うのではなく、むしろ大きく育てていく創造的なスキルです。自分と交渉相手、社会とをつなぎゆたかにする、これからの時代の交渉学を知ってみませんか。この番組では、対談形式で身近な事例から交渉の真の価値を皆さまにお伝えしていきます。
「交渉学教科書」交渉の基礎知識について① 安藤雅旺
今回より、「交渉学教科書 今を生きる術」(R.J.レビスキー, D.M.サンダーズ, J.W.ミントン 著/藤田忠 監訳 各務洋子, 熊田聖, 篠原美登里 訳)をもとに、交渉についてじっくりと皆さんと学んでいければと思っています。個人間での交渉も、国家間での交渉も基本的な要素は共通です。大切な交渉において失敗しないように、大切な要素と過程をぜひ知ってください。
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【TODAY’S TOPICS】
◎学ぶべき3点
・交渉が必要な状況の判断方法
・交渉の進行プロセス
・交渉成功のための分析と計画
◎交渉が行われる6つの条件
・2者以上の交渉者がいる
・交渉者間には利害の対立がある
・交渉によってより良い取引が可能
・交渉者は基本的に合意を望む
・持ちつ持たれつの関係を期待
・有形の問題(価格など)と無形の問題(信頼関係など)の両方に対処する必要がある
◎交渉の2つの型
・分配型交渉(ウィン・ルーズ):片方の利益が他方の損失になるゼロサムゲーム
・統合型交渉(ウィン・ウィン):双方の利益が共存するノンゼロサムゲーム
◎交渉における2つの窮地
・正直の窮地:どこまで本音を伝えるべきか?
全て話すと相手が有利になるが、全く話さないと交渉が進まない。
・信頼の窮地:相手の言うことをどこまで信じるか?
全て信じると騙される可能性があるが、疑いすぎると合意できない。
◎信頼を築く2つの方法
・交渉結果の捉え方:利益や価値の評価を変える(例:低賃金だが昇進が早い仕事の提案)
・交渉過程の捉え方:公平性や相互関係を重視する。
持ちつ持たれつの関係を軽視すると、交渉の過程が短縮され、信頼関係の構築が難しくなる
◎交渉の満足度
交渉の成功は「結果」だけでなく「過程」によって決まる。
相手が譲歩しない場合、不当な扱いと感じて交渉が決裂しやすい。
信頼関係を築きながら、共同意思決定をすることが交渉の本質。
お聞きいただきありがとうございました。
交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、
「交渉アナリスト」のサイトをご覧ください。
◎伝える人:安藤雅旺(あんどうまさあき)・株式会社トランスエージェント代表取締役。NPO法人日本交渉協会代表理事。「仁の循環・合一の実現」を理念に、交渉力協働力向上支援事業、BtoB営業マーケティング支援事業などを展開している。
著書:『心理戦に負けない極意(共著)』PHP出版・『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』日刊工業新聞社・『交渉学ノススメ(監修)』生産性出版・『論語営業のすすめ』生産性出版
◎聞く人:星野良太・人まず株式会社代表。コピーライター・講師。声の対談メディアWorkTeller主催。
著書:「コロナ時代に、オンラインでコーチングをはじめてみた。」
【運営】
日本交渉学協会/高い交渉力を持ち社会に貢献できる人物を「交渉アナリスト」資格として認定する活動や、交渉力向上に役立つ情報発信、企業や大学、行政機関での交渉力普及のための研修コンテンツの提供などを実施。
【関連資格】
交渉アナリスト/MBAレベルの交渉学の知識と交渉技術を兼ね備えた、交渉の実践者を認定する資格。