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営業力強化 パーソナルスキル

Vol.32 端的にわかりやすく伝える技術―PREP話法

本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業パーソンを対象としています。時代とともに営業のやり方は変化しますが、営業の本質である「量×質」という成功法則は不変です。ここでは、営業力強化につながるパーソナルスキルについてお伝えします。

前回ご紹介した「伝える力の基本」では、ロゴス(論理)・パトス(感情)・エトス(信頼)の3要素をお伝えしました。今回はその中のロゴス(論理)に焦点を当てた、実践的フレームワークである「PREP話法」の活用について考えます。

PREP話法は、商談中の応酬話法で力を発揮するスキルです。質問への回答や反論への対応といった場面で、顧客に納得感を与えながら、端的かつわかりやすく伝えるためのスキルです。

PREP話法は次の4つで構成されます。
P(Point):結論
R(Reason):理由
E(Example):具体例
P(Point):結論

この構造を意識することで、話の軸がぶれることなく、聞き手に理解されやすい説明につながります。

PREP話法は、JINメソッドの各プロセスにおいて「応酬話法」が求められる場面で特に効果を発揮します。とりわけ、顧客からの質問や懸念に対して、納得感のある返答を端的に伝える必要がある場面で活用するスキルです。以下は、その代表的なシーンの一部です。

プロセスシーン想定される相手の発言PREPの活用ポイント
掴む初回面談「弊社は特殊だから他社と同じようにはフィットしないと思います。」類似企業での事例や共通点を提示し、納得感を与える。
巻き込む提案時「いい提案だと思うけど、今すぐに導入すべきかを判断しかねます。」なぜ今導入すべきかを、過去の商談での顧客の発言を引用しながら重要性と緊急性を伝える。
動かす顧客の関係部門の巻き込み「そのプロジェクトは、管理部門が責任部署であり、我々には関係ないと思いますがいかがでしょうか?」組織全体の課題と、その部門との関連性を明確に伝える。

このように、PREP話法は商談の様々なシーンで活用ができます。

PREP話法を使いこなすためには、次のポイントを意識することが重要です。

  • 結論は1つに絞る。
    商談の現場では、顧客の反論や懸念に対して、伝えたいことが複数浮かぶこともあります。しかし、一度に多くのメッセージを詰め込むと、相手の理解が浅くなることや、圧迫感を与えてしまうこともあります。まずは「今この場で最も伝えるべきことは何か」を見極め、一つの結論に絞って端的に伝えることが大切です。伝えきれていないことがある場合は、PREP話法を繰り返しながら一つずつ丁寧に伝えることで、相手との認識を合わせながら商談を進めることができます。
  • 理由は3つに絞る。
    結論を支える理由は、数が多すぎると逆に印象がぼやけてしまいます。「結論の納得度を高めるために、最も効果的な理由を選ぶ」という意識を持つことが重要です。
    理由を3つ程度に整理することで、相手が情報を受け取りやすくなり、思考の焦点が定まりやすくなります。また、要点を絞って伝えることで、会話の中で深い対話につながり、相手の納得感を高めることができます。
    複数の理由がある場合も、なるべく集約・整理して「覚えやすく・伝わりやすく」する工夫が求められます。
  • 事例には社名や数字を盛り込む。
    具体的な社名や実績データを入れることで、話のリアリティと説得力が一気に増します。抽象的な話よりも、「その話が現実の中でどう機能しているか」をイメージしてもらえることが、相手の納得感につながります。特に、相手企業との共通点がある事例を挙げると、より効果的です。

上記を意識することで、説得力のあるトークに変わります。

商談中に論理構造をその場で組み立てることは容易ではありません。だからこそ、事前準備が重要です。

事前準備のポイント
■ よくある質問や懸念事項を洗い出す。
■ PREPの構造で回答例をテンプレート化する。
■ 上司や同僚とのロールプレイングを通じて実践で使えるようにする。

事前準備をすることで、どんな商談の場面でも落ち着いた対応につながります。

    PREP話法は、「端的に」「論理的に」「相手視点で」伝えるための強力な武器となります。このスキルを体得することで、商談のあらゆる場面で伝えることの説得力が増し、信頼を勝ち取ることにつながります。

    次回は「FABE話法」をテーマに取り上げ、“競合と比べた優位性と顧客への便益を中心に伝えるスキル”を紹介します。PREPとFABEを両輪で使いこなすことで、伝える力の強化につながります。


    筧 裕介 プロフィール

    トランスエージェント上海 総経理

    愛知県出身 信州大学卒業

    大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入所。
    その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。

    09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
    10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。

    2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。

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