Vol.80 「交渉学教科書」⑤ 分配型交渉の戦術


交渉とは、ズルいものでも怖いものでもありません。限られた資源を奪い合うのではなく、むしろ大きく育てていく創造的なスキルです。自分と交渉相手、社会とをつなぎゆたかにする、これからの時代の交渉学を知ってみませんか。この番組では、対談形式で身近な事例から交渉の真の価値を皆さまにお伝えしていきます。
「交渉学教科書」⑤ 分配型交渉の戦術
引き続き、「交渉学教科書 今を生きる術」(R.J.レビスキー, D.M.サンダーズ, J.W.ミントン 著/藤田忠 監訳 各務洋子, 熊田聖, 篠原美登里 訳)をもとに、交渉についてじっくりと皆さんと学んでいきます。今回のテーマは「分配型交渉の戦術」です。
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【TODAY’S TOPICS】
◎分配型交渉における「印象管理」
・交渉では「どのように見せるか」が勝負を分ける
・「情報を明かさない」「無言で圧をかける」「交渉代理人を立てる」
・「交渉項目を増やして本音を隠す(目くらまし)」
・「有利な情報だけ選択的に提示」「相手の提案がもたらすリスクを論理的に説明」
◎交渉における「感情」の扱い方
・無意識の表情や反応もまた「情報」になる
・がっかりした顔・熱心な姿勢が交渉の重要度を伝えてしまう
・「無関心」を装う技術もまた戦術のひとつ
◎立場の取り方と「最初の提案」
・分配型交渉において最初の提案は「極端な値」が効果的(ただし断られるリスクもある)
・極端な提案により、交渉の余地と主導権を確保する
・ただし、関係性が築けている相手に使うのは逆効果
◎「譲歩」は戦略的に使う
・柔軟さを見せることで合意可能性が高まる
・一方的な譲歩は「弱さ」と見なされるリスクあり
・最後の譲歩は「印象的かつ特別」に演出すると効果的
例:「上司に掛け合って特別に対応させていただきました」
◎分配型交渉を知る意味
・「情報のコントロール」こそが主戦場
・対立が前提となる交渉でも、暴力や圧力に頼らず合意を目指す姿勢が大切
・交渉の成功は技術だけでなく、理解と計画に支えられている
お聞きいただきありがとうございました。
交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、
「交渉アナリスト」のサイトをご覧ください。
◎伝える人:安藤雅旺(あんどうまさあき)・株式会社トランスエージェント代表取締役。NPO法人日本交渉協会代表理事。「仁の循環・合一の実現」を理念に、交渉力協働力向上支援事業、BtoB営業マーケティング支援事業などを展開している。
著書:『心理戦に負けない極意(共著)』PHP出版・『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』日刊工業新聞社・『交渉学ノススメ(監修)』生産性出版・『論語営業のすすめ』生産性出版
◎聞く人:星野良太・人まず株式会社代表。コピーライター・講師。声の対談メディアWorkTeller主催。
著書:「コロナ時代に、オンラインでコーチングをはじめてみた。」
【運営】
日本交渉学協会/高い交渉力を持ち社会に貢献できる人物を「交渉アナリスト」資格として認定する活動や、交渉力向上に役立つ情報発信、企業や大学、行政機関での交渉力普及のための研修コンテンツの提供などを実施。
【関連資格】
交渉アナリスト/MBAレベルの交渉学の知識と交渉技術を兼ね備えた、交渉の実践者を認定する資格。