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営業力強化 パーソナルスキル

Vol.25 顧客に嫌悪感を抱かせる性格・人柄 

本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業パーソンを対象としています。時代とともに営業のやり方は変化しますが、営業の本質である「量×質」という成功法則は不変です。ここでは、営業力強化につながるパーソナルスキルについてお伝えします。

前回は「顧客を惹きつける性格・人柄」を紹介しました。今回は逆の視点から、「顧客に嫌悪感を抱かせる性格・人柄」に焦点を当て、B to B営業パーソンが避けるべき特性や行動について考察します。

嫌悪感を抱かせる性格・人柄

  1. しつこい:断っているのに、何度もセールスの連絡がくる。
  2. 高慢さ:「自分は何でも知っている」という態度をとる。プライドが高く人を見下す。
  3. 利己主義:社会や顧客のことを考えず、自分の利益や快楽だけを追求する考え方をしている。エゴイズム。
  4. 無関心:顧客の要望や心情に無頓着。同じ質問を何度もする。
  5. 強制:クロージングが脅迫的。断りや拒否反応を無視して話し続ける。
  6. 嘘・偽り:セールスプレゼンテーションの中にところどころ嘘が混じっている。知ったかぶり。もっともらしく偽りを語る。
  7. 軽率さ:場の状況をわきまえない言動をとる。思慮が浅く、口が軽い。
  8. 軽視:人を見くびる。相手の肩書によって露骨に態度を変える。
  9. 不摂生:暴飲暴食、夜更かし、深酒等の不健康な生活が顔に出ている。
  10. 批判:物事や人の良し悪しを自分なりに判断し、口にする。
  11. 憤り・怒り:「ムッ」とした表情が顔に出る。怒りをあらわにする。
  12. 貪欲:度が過ぎるほど欲が深い。物欲のために仕事をしている。

引用:セールスの教科書(特定非営利活動法人セールスコーチング協会)

これらの特性は、顧客との信頼関係構築を妨げ、ビジネスチャンスを逃す原因となる恐れがあります。

具体例:顧客に嫌悪感を与える営業パーソン

1. 日本人営業パーソンX氏(利己主義/強制的):

筆者がX氏の営業商談に同席した際の出来事です。X氏の提案内容は明らかに自己都合でしたが、「結果的にwin-winになります」と、顧客にとっても有益だと強く主張しました。温厚な性格の顧客が丁寧に断ると、X氏は「なぜですか?先ほど申し上げたように…のようなメリットがあるのですよ」と、空気を読まずにプレゼンを続けました。

後日、筆者がその顧客と二人で会った際、顧客は「X氏の圧力はかなり強いですね。今後のお付き合いは考えさせていただきたいと思います」と筆者に打ち明けられました。

2. 中国人営業パーソンY氏(高慢/強制的):

筆者が自社の広告掲載について問い合わせた際の出来事です。対応したY氏は愛社精神が非常に強く、「うちの広告はすごい」と様々な過去の事例を挙げながらプレゼンを行いました。

Y氏が説明した実績は確かに素晴らしいものでしたが、弊社の事情を全くヒアリングしようとしませんでした。筆者が「○○研修公開講座の集客について相談したい」と伝えても、研修内容やターゲットを聞こうともせず、「うちに広告を出せば集客は可能」と断言しました。

さらに、「年間プランを契約してください」と最高額のプランを提示し、「年間契約さえすれば、いろいろとサービスできます。弊社が集客して大手企業とコラボレーションしたセミナーも開催できます。他の大手企業さんと一緒にセミナーをすることなんてできないでしょ」と、弊社の状況を考慮せずに話を進めました。

この態度にかなり憤慨した筆者は、Y氏のプレゼンが終わった段階で「検討してご連絡します」と伝えて商談を終えました。「この人は一体何なんだ!?」と思ったのは、筆者にとって初めての経験でした。

セールスエッセンシャルの客観的把握の難しさ

基本的に顧客は営業パーソンに対して不快感をはっきりと伝えることはありません。筆者は、Y氏に対しても後日「内部で検討しましたが、今回は見送りとしました」とだけ伝えています。前々回のコラムでもお伝えしたように、自身のセールスエッセンシャルの現状を客観的に判断するには、相当な意識的な努力が必要です。

筆者が考える、X氏とY氏に共通する問題点は「共感性の低さ」です。共感性とは、相手の感情に敏感に反応し、それに合わせる能力のことです。言い換えれば、「空気を読む力」とも言えるでしょう。

営業という仕事は、顧客があってこそ成り立ちます。そのため、顧客の心の動きを敏感に感じ取りながら、自身の振る舞いを常に振り返ることが重要です。自分自身ではなく、顧客に意識を向けることが成功への鍵となります。

営業パーソンとしての志の確立

X氏とY氏に共通する良い側面として、強い自信と業績への高い意識が見て取れます。これらの特質は本来、営業パーソンにとって重要な資質です。しかし、彼らの場合、そのベクトルが極端に自分自身に向いてしまっているため、結果として顧客に嫌悪感を抱かせる振る舞いにつながっています。

このような状況に気づいた場合、改善への第一歩として、自分自身が営業という仕事を通して何を成し遂げたいのか、その志を改めて明確にすることが重要です。顧客志向の姿勢を持ち、自身の強みを適切に活かすことで、より効果的な営業活動につながるでしょう。

YouTubeチャンネル「営業人ドットコム」の『論語営業のすすめ』では、営業人としてのロールモデルを紹介しています。この動画は、自分自身の中に湧き上がるパワーを顧客やその先にある社会へと向けていくきっかけになるでしょう。

自分自身の中に社会貢献という大義を見出すことで、その力はさらに増大していくのではないでしょうか。以下のリンクの動画では、自身に内在するエネルギーを顧客や社会に向けることで、より大きな影響力を発揮する方法を学ぶことができます。

営業の本質を再考する

今回は、顧客に嫌悪感を抱かせる性格・人柄について考察しました。これらの特性は、営業パーソンとして避けるべき振る舞いを明確に示しています。

重要なことは、これらの特性を単に避けるだけではなく、なぜそれらが顧客に嫌悪感を与えるのかを深く理解することです。多くの場合、これらの問題は「顧客志向」の欠如に起因しています。

優れた営業パーソンは、自身の強みを活かしつつも、常に顧客の立場に立って考え、行動します。自己中心的な姿勢ではなく、顧客の課題解決の支援に真摯に取り組む姿勢が、信頼関係構築の鍵となります。

このコラムを通じて、読者の皆様が自身の営業スタイルを振り返り、より顧客志向のアプローチを実践するきっかけとなれば幸いです。常に自己改善の姿勢を持ち、顧客との良好な関係構築に努めることが、長期的な成功につながるでしょう。

筧 裕介 プロフィール

トランスエージェント上海 総経理

愛知県出身 信州大学卒業

大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入所。
その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。

09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。

2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。

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