vol.1 受注見込みについて
本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業人材を対象にお送りするコラムです。時代の流れとともに営業のやり方は変わっていきますが、営業の本質である「量×質」という成功法則についてはいつの時代も変わりません。本コラムでは、営業力強化につながるパーソナルスキルについてお伝えしていきます。
今回のテーマは【受注見込みのつけ方】
今回のテーマは営業活動における受注見込みのつけ方です。受注見込み(以下見込みと記載)とは、獲得しようとする案件の受注確率のことを指します。見込みのつけ方は、各営業組織によって違いますが、筆者の営業組織では「80%(確実)、50%(ライバル次第)、30%(土台には乗っている)、10%(厳しい)」の4段階で分別、管理しています。
見込みを正確につけることで営業効率が向上!
見込みをつける目的には下記の3つがあると考えています。
- 売上予測を立てる
- 案件の優先順位をつける
- 的確なネクストアクションを検討する
営業人材は、会社から売上目標やノルマが課せられていると思います。その目標やノルマに対して現在の状況が良いのか悪いのかを判断するためにも、各案件の見込みを正確につける必要があります。特に、目標金額に対して現状積み上げている案件の受注予定金額が不足している場合、その不足している分を埋めるために、営業人材がどの案件を優先すればいいのか、各案件ではどんなアクションをするべきなのかといったことを検討する際、その見込みが重要な尺度になります。
見込みをつける基準は「人間関係」、「問題意識」、「懐事情」、「ライバル状況」の4つ!
それでは、見込みはどのような基準でつければいいのでしょうか?営業経験が豊富な方は、ご自身の勘を頼りにつけられると思うのですが、営業経験が浅い方々にとって見込みを正確につけるのは至難の業です。そこで、筆者が使用している基準をご紹介します。筆者は次の4つの基準、「人間関係」、「問題意識」、「懐事情」。「ライバル状況」を使用しています。次にそれぞれの基準を詳しく解説します。
- 人間関係
人間関係とは、営業活動上において顧客側のキーマンと接触できているかどうかということと、そのキーパーソンとの関係構築度合いのことを指します。キーパーソンにも様々な種類があり、B to Bにおいては決裁権のある人とだけ会えていたとしても案件が決まらないことはよく起こるため、幅広くいろんな人に会っておく必要があります。具体的なキーパーソンの分析方法は後日ご紹介します。また、接触しているキーパーソンから顧客事情を聞き出せる関係を構築できているかどうかということも非常に重要です。
- 問題意識
ここでいう問題意識とは、顧客側の問題意識のことを指します。つまり、顧客が抱えている問題を解決する製品・サービスを提案する際における、その問題に対する顧客側の意識です。そして、問題意識を分析する上では、3つのことを意識しています。まず1つ目は、顧客自身がその問題を全社的な問題として認識されているかどうかです。一部の人のみ問題意識が高いだけでは、受注できないというのがB to Bの営業なので、その点について確認が必要です。また、2つ目は、その問題に対して顧客が費用をかけてでも解決したいと考えているかということです。問題の内容や優先順位によっては、まずは顧客自身で解決することを選択される場合があるからです。3つ目は自社の製品・サービスでその顧客の問題を解決できるかどうかです。顧客から問題意識を引き出し、共有できたとしてもその問題を解決できなければ自社の売上にはつながらないためです。
- 懐事情
懐事情を分析する上では、2つのことを意識しています。1つ目は顧客がその問題解決のための費用を既に予算化しているのかどうか?もう1つは、その予算がいくら位なのか?です。
- ライバル状況
ライバル状況とは、このような顧客の問題を解決する製品・サービスを提供する自社以外の同業他社の動きについてです。この案件に関して、顧客が他のどのような企業に声がけをしているのか、それぞれの会社ではどの程度話が進んでいるのか、可能であればその評価にについて確認します。
正確な見込みをつけるためには、商談で顧客から事実情報を引き出すことが必要!
見込みを正確につけられるようにするには、事実情報を多く獲得することが必要です。上記のことを意識して商談に臨むことで、顧客に質問すべきことが見えてきます。このコラムをご覧になっている方々の中には、上記のようなことを商談で顧客に聞いていいものなのかと感じられる方々もいらっしゃるかもしれません。具体的な聞き方については、また後日ご紹介させていただきます。
見込みを正確につけられるようになることで、皆様の営業行動の質が高まることを願っております。
筧 裕介 プロフィール
トランスエージェント上海 総経理
愛知県出身 信州大学卒業
大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入団。
その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。
09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。
2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。