vol.8 応酬話法について① PREP法
営業力強化 パーソナルスキルvol.8
応酬話法について① PREP法
第8回 応酬話法について① PREP法
本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業人材を対象にお送りするコラムです。時代の流れとともに営業のやり方は変わっていきますが、営業の本質である「量×質」という法則についてはいつの時代も変わりません。本コラムでは、営業力強化につながるパーソナルスキルについてお伝えしていきます。
今回は、応酬話法について解説します。
応酬話法とは、商談で見込み客からのお断りや反対に対して切り返す技術のことを指します。
応酬話法の目的は、見込み客の自社の製品・サービスに対して正しく認識していただくことです。
決して、見込み客を説得することではありません。
なぜなら、B to Bの営業行動においては製品・サービス導入の動機は自社の問題解決であるためです。そのため見込み客は、自社の問題解決に適しているかどうかを見ており、商談では検討中の製品・サービスについて正しく認識したいと考えております。
筆者は恥ずかしながら、2年目くらいまでは応酬話法の目的を見込み客の説得にしていたため、商談がうまくいかなかったことが多かったです。
応酬話法をするうえでのポイントは次の2つであると考えております。
・見込み客が自社の製品・サービスに対してどんな認識をしているかを把握するため見込み客の発言をその背景を含めてしっかり聞くこと。(必要に応じて発言の意図を質問する。)
・見込み客の発言から自社の製品・サービスに対する疑問点や間違った認識を理解し、それに対してポイントを絞って伝えること。
ポイントを絞った営業トークをするために覚えたいフレームワークは“PREP”
PREPとは?次の内容を意味する英語の頭文字を取ったフレームワークです。
P:Point 結論
R:Reason 理由
E:Example 事例
P:Point 結論
事例をご紹介します。
ケース:SFA導入の営業
商談での見込み客の発言:弊社は既存フォローと新規開拓の両方を営業に課しているから一般的なシステムを導入しても使えない可能性が高いですね。
営業人材の応酬話法例
P:弊社のSFA導入支援サービスであれば、御社の状況に合わせたシステム開発と導入支援が可能であり、お役に立てると考えております。
R:理由は2つあり、1つ目は例えば新規開拓の部分のみのシステム開発をするなどスモールスタートが可能であること、2つ目は御社の業務に合わせてシステムを柔軟に開発できることです。
E:弊社の取引先である原料会社様では、御社と同様既存と新規両方を営業に課しております。業績向上のカギは新規拡大ということで新規案件に絞ってシステム開発と導入を行いました。導入後も業務に合わせてシステム修正をしていくことでシステムが運用に乗るだけでなく、導入前には見えていなかった新たな営業課題も浮き彫りになりました。
P:こういったことから、既存フォローと新規開拓の両方を営業に課しており、複雑な営業管理をされている御社においても、弊社のSFA導入支援はお役に立てると考えております。
PREPを使用する上での注意点は、フレームワークに情報を入れることを目的としないことです。筆者が営業研修でPREP話法の練習をするときに、理由と事例が論理的につながっていないことが散見されます。
目指すのは、瞬時にPREPに沿って応酬話法を作られるようになることですが、最初のうちは難しいため想定される見込み客のお断りや反対に対してはPREPに沿った応酬話法集を営業組織内で作っておくことをお勧めします。
本日ご紹介した内容が、見込み客の反対に対する切り返しに苦手意識を持っていた方にとって参考になれば幸いです。
筧 裕介 プロフィール
トランスエージェント上海 総経理
愛知県出身 信州大学卒業
大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入団。
その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。
09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。
2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。