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営業力強化 パーソナルスキル

Vol.18 聞く力について考える② 心から聞くために在り方を整える

営業力強化 パーソナルスキルvol.18

本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業パーソンを対象にお送りするコラムです。時代の流れとともに営業のやり方は変わっていきますが、営業の本質である「量×質」という法則についてはいつの時代も変わりません。本コラムでは、営業力強化につながるパーソナルスキルについてお伝えしていきます。

前回より聞く力についてお伝えをしております。前回は、聞く力プロセスの全体像と意識すべき2つのポイントについてお伝えしました。今回からは、各プロセスで必要なスキルについて解説をしていきます。

復習となりますが、筆者が考える聞く力プロセスは3つあり、①心から聞く②受け止める③質問で深めるです。今回から2回に渡って“心から聞く”について考えます。

心から聞く際に必要なことは2つあり、1つ目は在り方を整えること、2つ目は顧客が話したいと思うような聞く姿勢を表現することです。

営業パーソンは、商談の場において2つの角度からの視点を常に意識しておく必要があります

今回のコラムでは、在り方を整えることについて解説します。これは、商談中に商談相手の話を聞く際に意識すべき2つの視点(立場)のバランスを取ることを指します。当たり前のことだと思われるかもしれませんが、1つ目が相手(顧客)の立場です。商談相手である顧客の悩みに寄り添うとも言い換えられます。具体的に意識すべきこととして、自社の製品・サービスを売ることを目的とせず顧客の問題解決・課題解決が目的であることが挙げられます。

目指す方向性としては、顧客と同じ目線で物事が考えられるようになることです。商談中は、対面で座ることが多いので物理的にはできませんが、顧客の横に座ってその人が見ている世界を見ようとするイメージです。顧客の話を聞きながら、どんな環境で仕事をしているのか、どうありたいと思っているのか、その中でどんなことに悩んでいるのかに意識を向けていきます。同時に、相手が発する言葉だけでなく、その裏側にある思いにも目を向けます。裏側にあるメッセージにはポジティブなものもネガティブなものもあります。例えば前者であれば、顧客が検討中のプロジェクトを重要視し、「社内のどんな反対があっても負けずに取り組みたい」と思っているというような熱い思いが挙げられ、後者であれば、「上司に言われたから渋々検討しているが正直面倒だ」という思いが挙げられます。発言された際の表情や声色などで、発言の奥にある思いにも目を向けます。

2つ目に意識すべき点は、自分自身の立場です。営業パーソンは、商談をコントロールすることが役割の1つとして求められています。「心から聞く」際に商談をコントロールする上で、筆者が重要だと考えることは2つあります。1つ目は、顧客は営業パーソンの業績向上のために商談に参加しているわけではないという当たり前の前提を理解することです。顧客は自分の話したいことを商談中に自由に話します。商談中に顧客が自分の思い通りに話してくれなくても、先程挙げた前提を思い出し、そういうものだと受け入れることが必要です。
2つ目は、毎回の商談のゴールを意識することです。聞く力が求められる商談ということは、主に顧客の状況を掴むことを目的とした商談が想定されます。まずは、案件を獲得し推進するために顧客から掴むべきことの全体像を洗い出しましょう。弊社が提唱している顧客創造(交渉)プロセスJINメソッドでは、顧客の勘所を掴むこととして、以下の6つを挙げています。
① 顧客の現状を掴む
② 顧客のあるべき姿を掴む
③ 顧客の問題・課題を掴む
④ 意思決定プロセス・キーマンを掴む
⑤ キーパーソンの思いを掴む
⑥ タイミングを掴む
毎回の商談で、“今日はどこまでを掴む”ということを強く意識します。その上で、商談中に話が脱線した際の自分なりの対策を用意しておく必要があります。筆者の場合は、顧客が商談の本筋とは関係のない話を始めてなかなか終わらない場合、一通り顧客が話し終えた後に、柔らかい表情で無言の時間を作っております。そうすると、顧客が「すみません、色々話しちゃって・・・」と言ってくれるので、本来の話題に戻るようにしています。(実は、筆者はどちらかという顧客と商談の本筋とは関係ない話で盛り上がってしまう悪い癖があり、このような対応策を持ち合わせているものの、うまくいかないことが多いです)。
話が脱線した際の対応策は、ご自身のキャラクターによるので正解は1つではありません。自分なりのやり方を見つけていただけたらと思います。。

図:顧客創造(交渉)プロセスJINメソッド

以上に挙げた2つのことはどちらも大切であり、常にそのバランスを営業パーソンが意識することが重要です。正直、こうすれば正解というものはありません。自分自身が、筆者のように顧客の立場に意識が強く向きすぎて話が長くなりがちなのか、商談をコントロールすることに意識が向きすぎてしまい、顧客から情報があまり聞き出せないことが多いのかで意識すべきことが変わってきます。そのため、毎回の商談後に振り返りながら自分なりの心から聞く際の在り方をセルフチェックしていただきたいと思います。


筧 裕介 プロフィール

トランスエージェント上海 総経理

愛知県出身 信州大学卒業

大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入所。
その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。

09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。

2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。


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