Vol.22 BtoB営業に求められるパーソナルスキルの全体像
本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業パーソンを対象にお送りするコラムです。時代の流れとともに営業のやり方は変わっていきますが、営業の本質である「量×質」という成功法則についてはいつの時代も変わりません。本コラムでは、営業力強化につながるパーソナルスキルについてお伝えしていきます。
■多忙を極める中でも、日々成長が求められる営業パーソン
これを読んでいる若手・中堅営業パーソンの皆様は、業績向上のため日々多忙を極めているかと思われます。一方で、継続的な業績向上のためには、日々成長していく必要があります。しかしながら、どんな力をつけていけばよいのか漠然としている方も多いと思います。“営業力”といえば、商談におけるコミュニケーション力が想像できますが、商談は営業行動の一部分です。
そこで、今回は営業力の全体像とともに、パーソナルスキルの全体像について紹介します。
■営業の本質は、「量×質」
営業の成功法則「量×質」は、いつの時代も変わらない営業の本質です。質の高い営業行動のためには、まず十分な行動量が必要です。反対に、いくら質が高くても、行動量が不足していると、業績の向上は望めません。
営業において100%の成功率はあり得ません。失敗は成功のために必要不可欠なものなのです。重要なことは、これらの失敗から学び、次のアクションに活かすことです。
この「量×質」の成功法則を適切に理解し活用することで、パフォーマンスの全体的な向上が期待できます。
■営業力の向上は家を建てることと同じようなことである
B to Bにおける営業力は、主に3つの要素で構成されます。①マインド、②パーソナルスキル、③専門知識です。これらを家を建てる工程に例えると、マインドは堅固な土台、パーソナルスキルは支える柱、専門知識は守りを固める屋根となります。
大きくて強固な家を建てるためには、しっかりした土台と太く頑丈な柱が不可欠です。営業でも同じことが言えます。長期にわたる高い業績を維持するためには、強固なマインド(土台)、高いパーソナルスキル(柱)、深い専門知識(屋根)が必要です。これらがあれば、どんな市場の変動や外部環境の変化にも対応し、持続的な成功を収めることにつながります。
営業力を家に例えるならば、頑丈な柱としっかりした屋根は、強い土台があって初めて支えられるものです。また、家と同じく、営業力も定期的なメンテナンスが必要です。これは、営業力の向上と維持において学習と練習を怠らないことを意味します。
しかしながら、(筆者の印象では)、多くの企業様で営業教育は専門知識に偏りがちで、マインドやパーソナルスキルの重要性が見過ごされている例を散見します。専門知識だけを鍛えるのは、屋根だけが堅固な全体としてのバランスが取れていない家を建てるようなものであり、長期的な業績向上は難しくなります。営業教育においては、土台(マインド)と柱(パーソナルスキル)の強化にも同等の注力が必要です。
■パーソナルスキル:3つの柱
営業力を支える柱となるパーソナルスキルは、大きく3つに分類されます。これらは、①対人スキル、②自己管理スキル、③思考スキルです。
① 対人スキル:
対人スキルは、顧客との信頼関係を築くために必要不可欠なスキルです。顧客に対して製品・サービスについてわかりやすく説明し、顧客の情報を効果的に収集する能力が含まれます。これらのスキルは商談の場での成功に直接影響を与えます。筆者は、最も重要なスキルとして位置づけています。
② 自己管理スキル:
営業パーソンは、日々多忙を極め、様々なタスクを効率的に処理する必要があります。このため、時間管理と健康管理が極めて重要です。これらのスキルによって、持続的なパフォーマンスの維持につながります。
③ 思考スキル:
営業パーソンは、顧客の課題解決を支援する役割を担っています。そのため、論理的思考力、問題発見力、問題解決力といった思考スキルが求められます。顧客とのコミュニケーションから得た情報を整理し、様々なステークホルダーと協力して、効果的な解決策を組み立てるためには、これらのスキルが求められます。
以上3つの観点からスキルを磨き、質の高い営業行動を効率的に実行できるようになることで、営業成果を大きく向上させることが可能となります。
今後このコラムでは、実際の営業シーンで役立つスキルを、具体的な活用例と共に紹介していく予定です。
筧 裕介 プロフィール
トランスエージェント上海 総経理
愛知県出身 信州大学卒業
大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入所。
その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。
09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。
2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。