論語営業の実践 ~ 顧客を創造する開拓力~ 論語営業マインド「仁」「誠」「礼」の醸成と実践 ステークホルダーを巻き込む 顧客創造(交渉)プロセス JINメソッド ~論語営業のすすめ⑰
営業人.com代表 安藤 雅旺
論語営業の実践 ~ 顧客を創造する開拓力~ 論語営業マインド「仁」「誠」「礼」の醸成と実践 ステークホルダーを巻き込む 顧客創造(交渉)プロセス JINメソッド ~論語営業のすすめ⑰
●掴む
次に「掴む」段階に入ります。掴むとは商談の成約のために「勘所をつかむ」ことです。営業で商談を成約に導いていくためには売れる商談をすること(商談の内容の質)がもちろん大切ですが、それだけでは成約に至ることはできません。実戦の場では、売れる人に会い売れるタイミングで売れる商談をすること、この3つが揃わなければ成約には至りません。つまり「内容」「人」「時」の3つを押さえる必要があります。「内容」を押さえるためには、
①顧客の現状を掴む
②顧客のあるべき姿を掴む
③顧客の問題・課題を掴む
ことが必要です。「人」を押さえるためには、
④意思決定のプロセス・キーパーソンを掴む
⑤キーパーソンの思い・心を掴む
そして「時」を押さえるためには、
⑥タイミングを掴む
以上6つのポイントを掴むことが必須になります。
●巻き込む
勘所を掴んだ上で「ステークホルダーを巻き込む」段階に入ります。巻き込むとは1本にまとめること、合一の状態へ持ち込むことを指します。そのためには、
①共通目標の一致
②シナリオへの参画
③同志関係構築
の3つが重要です。
共通目標とは先方があるべき姿を実現するために自社を特定分野におけるパートナーとして認めることで、(あるべき姿実現にむけての)共通目標を構築することです。シナリオとは共通目標を達成するためのストーリーであり青写真(提案書)になります。営業側が提示しますが、相手もそこに主体的に参画している状態にすることが重要なポイントです。同時にシナリオは共通目標達成に向けての成功イメージが具体的に描ける現実的なものでなければなりません。同志関係構築とは営業と顧客という垣根を越えて共通目標を達成するために協働で取り組める人を、顧客先(キーパーソン)につくることです。問題意識の高い同志関係の人物が顧客先に存在するかしないかで案件の成否を大きく左右します。営業にとっては単に受注がゴールではなく、顧客へのお役立ちがゴールであり、それを実現するためにはキーパーソンとの同志関係構築は非常に重要なファクターになります。「共通目標の一致」「シナリオへの参画」「同志関係構築」、この3つをそろえることが「巻き込む」段階での重要なポイントになります。
●動かす
そしていよいよ組織(顧客・自社・プロジェクト)を動かす段階になります。ここでは、
①予算化
②体制づくり
③支援者づくり
の3つが重要です。詰めが甘く失注すれば、ここまでの努力が水の泡になります。大型案件であればあるほど中長期のものとなるため、失注すればしばらくはその顧客による受注機会は失われます。
失注リスクを回避するため、顧客側のキーパーソンが社内調整・説得をスムーズに進められるようにこれからの支援を全力で行う必要があります。そのためには営業側が社内のリソースをフルに活用し、顧客キーパーソンに対して援護射撃を常に繰り出せる体制をつくっておくことが求められます。同時に顧客側についてもキーパーソンだけでなく後ろ盾となっていただけるような支援者も構築し最後の詰めの段階で後押ししていただくことも威力を発揮します。ここで重要なことはあくまで自分や自社の利益を中心に考えて動くのでなく、顧客へのお役立ちを実現するために動く、共通目標・志実現のために動く、結果として自社の業績を確保するという、論語営業としての士魂商才、義利合一の姿勢のスタンスを貫くことが重要です。
営業にとって受注はゴールと捉えられがちですが、顧客からみればスタートにすぎません。自社にとっても受注からが始まりであり、顧客に対してしっかり価値提供を行い、顧客の問題解決・課題解決にお役に立てるのかが問われます。まだ何も始まっていないのです。受注して自己の目標達成をして喜んでいる営業は意識が自分にしか向いていません。目標達成は営業にとって非常にうれしいことでありますが、ここからが会社としては顧客に対する仕事のスタートであることを忘れずにしっかりと顧客をフォローしていくことが重要です。
安藤 雅旺 プロフィール

株式会社トランスエージェント 代表取締役
NPO法人日本交渉協会 代表理事
二松学舎大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修士課程修了(経営管理学修士MBA)
株式会社ジェック(人材開発・組織開発コンサルティング業)での営業経験を経て独立。
2001年株式会社トランスエージェントを設立。
2006年上海に中国法人上海創志企業管理諮詢公司を設立。
「仁の循環・合一の実現」を理念に、マネジメント・イノベーション支援事業、
交渉力・協働力向上支援事業、BtoB営業・マーケティング支援事業を展開している。
主な論文・著書
「中国進出日系企業の産業財市場における顧客インターフェイスの研究」
Strategy for Managing Customer Interface taken by Japanese B to B Marketers in China
~Effective Business Activities in Developing Customer-Supplier Relationship in China~
(立教大学大学院MBAプログラム2011年度優秀論文賞受賞)
『心理戦に負けない極意(共著)』(PHP研究所 2009)
『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』(日刊工業新聞社 2013)
『交渉学ノススメ(監修)』(生産性出版 2017)
『論語営業のすすめ』 (生産性出版 2021)
『论语和营业人』 (今日出版 2025)

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