1. HOME
  2. ブログ
  3. 営業力
  4. 営業のあり方 BEING
  5. 論語営業の実践 ~ 断りにめげない持続力~ 論語営業マインド「義」「勇」の醸成と実践 第3ステップ「勇の発動」  ~論語営業のすすめ⑭
記事

Blog

営業のあり方 BEING

論語営業の実践 ~ 断りにめげない持続力~ 論語営業マインド「義」「勇」の醸成と実践 第3ステップ「勇の発動」  ~論語営業のすすめ⑭

営業人.com代表 安藤 雅旺

論語営業の実践 ~ 断りにめげない持続力~ 論語営業マインド「義」「勇」の醸成と実践 第3ステップ「勇の発動」  ~論語営業のすすめ⑭

第3ステップ 「勇の発動
・常在戦場~お役立ちの戦でポジティブに行動する

当然のことですが、営業は常に数字目標を背負って仕事をしています。数字目標が達成できなければ、自身の立場や仕事の存続は危うくなります。数字が出なければ自身の給料はなし、必要経費も自身で負担するということで構わないのであれば、そこに何ら問題はありません。しかし生活をしていくためには収入が必要です。給料をもらっている以上、売上げを常に上げ続けていくことは必ず求められることで当たり前のことなのです。最低でも給料と自身の営業活動にかかっている諸経費分に見合う売上げを上げられなければ組織や仲間の足を引っ張っている状態ということになります。そうした意味では「常に戦場にいるという危機意識を持つ」ことが重要です。

しかし逆に数字そのものだけを意識しすぎるとその重圧に押しつぶされることもあります。数字がすべての目的となり、仕事のやりがいや自分自身を見失うこともあります。そうなると負のスパイラルにはまってしまい、結果として強く意識していた数字そのものも達成できなくなります。

そうした負のスパイラルを回避するために「数字目標に対する捉え方を正す」必要があります。そもそもビジネスの戦場とは通常の戦場と違い「相手を倒す」のではなく「相手にお役に立つ」お役立ちの戦、つまり他者に役立つための競争であります。他者の役に立つこと=「義」を実行した結果が数字として現れるのです。そう考えると数字目標とはお役立ち目標であり自分自身が努力して築き上げた社会や顧客からの信頼の積み重ねの結果といえます。そういう意味では数字目標とは決してネガティブなものではなく、自らが主体的に挑戦するポジティブなものとして捉えられるのではないでしょうか。そこに楽はありませんが、成長があり、達成の喜びがあり、充実があり、楽しみや営業の面白さを見出せるものです。

つぎに重要なことは目の前の壁を乗り越えるため、とにかく「行動すること」です。

義を見て為さざるは勇なきなり。(『論語』為政第二)
行うべきことを前にしながら行わないのは、臆病者である。(『論語』金谷治訳注 岩波文庫)
論語営業解釈: 正しい道(お役立ちの方向性)が明確になったのに行動しないのは勇気がないからである。

小さな義もしくは大きな義を見出したら、ひたすら義に向かって力強く行動することです。自らが行動することでしか現状を変える手立てはありません。目標を達成するため、計画的に粘り強く行動していくことが求められます。自らの行動によって営業活動に勢いを作り出していくのです。行動することで、机上では考えつかなかったアイデアやヒントを顧客から得られたり、予想もしなった展開が生まれたりすることがあります。

行動する前から、いろいろとネガティブに考えて、実行力が低下する人がいますが、あれこれ狭い自身の世界で考えて、思い込みをしても何の益もありません。まずは信念を持って、義に向かって行動することです。行動することが自身の不安を消し去り、営業の見通しをよくすることにつながっていきます。

さらに勇の発動を「新たな戦略を見出すこと」に向けていくことも重要です。自社の商品サービス・ソリューションはこれまで見出されてきたお役立ちのターゲット以外にも、お役に立てるところがあるかもしれません。また、当初考えていた用途・効用以外にも別の用途や効用があるかもしれません。先輩が引いた営業の路線をなぞるだけでなく、あらたなターゲットやポジショニングを考え、見出すことも大切であり、そのためには常に問題意識を持ち自らに問いを立て行動していくことが重要です。

苟(まこと)に日に新たに、日日新たに、又日に新たなれ。『大学』 第二章(『大学・中庸』金谷治訳注 岩波書店)

前進あるのみ

断りにめげない持続力を強化するために、第1ステップ「肚をくくる」 第2ステップ「義を見出す」 第3ステップ「勇の発動」について説明してきました。

まとめとして『孟子』の中の孔子の言葉を紹介します。孔子の気魄にならって自らを奮い立たせていきたいものです。

自ら反(かえり)みて縮(なお)くんば千万人と雖も我往かん (孟子 公孫丑章句上)
自分はあくまで正しいと思うときは、たとえ相手が千万人あろうとも、断じてあとへは一歩も退かぬ。これこそ本当の勇気というものだ。 (『孟子』 上 小林勝人訳注岩波書店)


安藤 雅旺 プロフィール

株式会社トランスエージェント 代表取締役
NPO法人日本交渉協会 代表理事


二松学舎大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修士課程修了(経営管理学修士MBA)
株式会社ジェック(人材開発・組織開発コンサルティング業)での営業経験を経て独立。
2001年株式会社トランスエージェントを設立。
2006年上海に中国法人上海創志企業管理諮詢公司を設立。
「仁の循環・合一の実現」を理念に、マネジメント・イノベーション支援事業、
交渉力・協働力向上支援事業、BtoB営業・マーケティング支援事業を展開している。


主な論文・著書
「中国進出日系企業の産業財市場における顧客インターフェイスの研究」
Strategy for Managing Customer Interface taken by Japanese B to B Marketers in China
~Effective Business Activities in Developing Customer-Supplier Relationship in China~
(立教大学大学院MBAプログラム2011年度優秀論文賞受賞)


『心理戦に負けない極意(共著)』(PHP研究所 2009)
『中国に入っては中国式交渉術に従え!(共著)』(日刊工業新聞社 2013)
『交渉学ノススメ(監修)』(生産性出版 2017)
『論語営業のすすめ』 (生産性出版 2021)
『论语和营业人』 (今日出版 2025)


本誌掲載の写真 ・ 記事 ・ 図版を無断で転写 ・ 複写することを禁じます。

関連記事