営業人に求められるパーソナルスキルvol.4

提案したけど案件が進捗しない場合の対処法

本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業人材を対象にお送りするコラムです。時代の流れとともに営業のやり方は変わっていきますが、営業の本質である「量×質」という法則についてはいつの時代も変わりません。本コラムでは、営業行動の質を高めるためのパーソナルスキルについてお伝えしていきます。

今回のテーマは【提案したけど案件が進捗しない場合の対処法について】

筆者が担当した営業研修の場で参加者から、商談相手から自社の製品に対して、一定の評価を受けたのでサンプルを提出したり見積を出したりしたのですが、案件進捗しないことがあるのは何故ですかと質問をされることがあります。そこで本日は、提案したものの案件が進捗しない場合の対処法について解説したいと思います。

協力キーパーソンとなり得る人を探そう!

案件進捗しない原因の1つとして、商談相手の問題意識が高まっていないということが考えられます。筆者の経験上この状況を打開する方法は、協力キーパーソンになり得る人と商談をすることであると考えています。

筆者の事例を紹介します。

ウェブサイト立ち上げから10年近く経って老朽化していた筆者の既存顧客に対して、ウェブサイトリニューアルを提案した事例です。その企業の管理部部長の方と関係が深かったこと、管理部下にある情報システム課がウェブサイトの保守を行っていることから、筆者は管理部に対して提案を行っていましたが、案件が進捗しませんでした。

そこで、営業部の方にアポを取って商談をしました。営業部の方からは、「事業部が多い自社の現状を鑑みると、ウェブサイトを制作しようと管理部発信で各事業部へ打診してもなかなか動かないと思いますよ。ウェブサイトの全面改訂ではなく、事業部単位でウェブサイト立ち上げを提案してみてはどうですか。」とコメントをいただきました。

ちょうど商談した営業部の方の事業部が新しい事業を立ち上げたばかりで、その事業を紹介するウェブサイトが必要であったというラッキーも重なり、管理部へ事業部単位のウェブサイト制作を提案し受注することが出来ました。

この事例を振り返ると、管理部の方にとってウェブサイトをリニューアルすることは、多くの時間を使って事業部を巻き込んでまで取り組むほどのことではないと考えていたと推察されます。そこで筆者は、何度も管理部の方に接触して採用をお願いするのではなく、営業部の方と商談をしたことで案件が進捗しない理由を知ることが出来ました。また、筆者が商談した営業部の方が協力キーパーソンとなって、事業部単位での立ち上げに絞った提案にしたことで、管理部としては筆者の提案を採用しやすくなったのが今回の成功要因であったと思われます。

この事例を通して気づいてほしいことは次のことです。

  • 営業パーソンが顧客の組織の状況を詳細に把握することは難しい。
  • 案件を進捗させるには、組織の状況の把握は必須である。
  • 一般的に検討すると考えられる部門の担当者や決裁者と商談できたら、案件のキーパーソン開拓は終了と考えないほうが良い。

全く同じ状況はないと思いますが、案件が進捗しないという問題を抱えている方の参考になれば幸いです。


筧 裕介 プロフィール

トランスエージェント上海 総経理

愛知県出身 信州大学卒業

大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入団。
その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。

09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。

2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。


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