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営業力強化 パーソナルスキル

vol.6質問話法の実践

営業力強化 パーソナルスキルvol.6

質問話法の実践

本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業人材を対象にお送りするコラムです。時代の流れとともに営業のやり方は変わっていきますが、営業の本質である「量×質」という法則についてはいつの時代も変わりません。本コラムでは、営業力強化につながるパーソナルスキルについてお伝えしていきます。

前回は、3種類の質問について解説しました。本日は、その実践について筆者の実践事例をご紹介しながら解説したいと思います。

これまで世の中に存在しなかった新しい商品を取り扱っている以外、新規顧客開拓営業活動では顧客が既に導入している、自社のライバル企業の製品・サービスから自社の製品・サービスへと置き換えることが基本的な活動内容になります。実際の商談においては、質問をするだけでなく自社製品PRをする必要がありますが、今回のテーマでは質問話法に焦点を当てているため、商談相手に自社の製品・サービスに関して伝えている前提で、質問話法を中心に解説をしたいと思います。

新規顧客開拓において、営業パーソンが商談を通して顧客から得たい情報として次のようなことが挙げられます。

-顧客が現在使用している製品・サービスの内容と導入元企業

-その製品・サービスに対する顧客の評価

-顧客がその製品・サービスを導入された背景

しかしながら、新規顧客開拓においては、営業パーソンと商談相手との間で信頼関係が出来上がっているわけではないので、そのような状況下では、商談相手は営業パーソンに対して次のような感情を抱いている事が考えられます。

-売り込まれるのではないか。

-信頼できる相手なのかがわからない。

このような状況の商談において、営業パーソンが得たい情報をどのように聞き出せばよいのでしょうか?筆者が現在行っている営業管理システムの営業活動を例に、どのような質問方法があるのかを考えてみたいと思います。自社PRを通して自社の取り組みを商談相手に伝えた上で筆者の場合は次のような質問話法を使用しております。なお、想定する商談相手は、営業の責任者です。

“御社では日々の営業管理において、どのような取り組みをされているのでしょうか?(オープン質問)弊社がお手伝いしている営業組織では、案件管理と商談管理の2つをされている会社が多いのですが、御社ではいかがでしょうか?(クローズド質問)

筆者が自社PR後の最初の質問で意識していることとして、顧客が使用しているツールや方法論だけにフォーカスせず、活用方法やその目的を聞き出すことです。その理由は2つあり、1つ目はツールの売り込みをされるのではないかという顧客心理の対策と、2つ目は顧客の個別事情を深く聞き出すきっかけづくりです。

もう1つ意識していることは、オープン質問もしくはクローズド質問だけにしないことです。先程挙げた事例で、最初のオープン質問だけだと、評価制度のような大きな話題から、営業会議の進行方法のような細かい話題まで回答の幅が広くなりすぎてしまうため、2つ目のクローズド質問をすることで、商談相手が答えやすいように回答の幅を絞るようにしていています。

このように申し上げると、2つ目のクローズド質問だけでも良いのではないかというご意見がありそうですが、筆者の経験上2つ目のクローズド質問から入ると、商談中の話題が、案件管理をする際に使用しているツールなどの方法論が中心になってしまうことがよく起こってしまったため、営業管理の取り組みの全体を聞きたいという意思表示をする意味でも、最初にオープン質問をするようにしています。

逆に、商談で質問をしても商談相手があまり話してくれないという悩みを抱える営業パーソンの特徴として、商談の初期段階で次のような質問話法をする傾向があります。

“御社では案件管理や商談管理はどのように行っていますか?”

“他社では商談報告をメールで共有すると検索性が低くなるという声が聞かれますが、御社ではいかがでしょうか?”

このような質問をした後に、商談相手から使用しているツールの情報やその使用感を聞き出したうえで、営業パーソンが自社製品のPRを改めてするという商談の流れをよく見ます。結果として、自社製品の機能をPRすることに多くの時間を取られてしまい個別事情を深く聞き出すことができないということが起こってしまいます。

質問話法は正解も間違いもないので、上記の質問話法が間違いというわけではないです。既にニーズが固まっている商談相手であれば、上記の質問をきっかけにどんどん商談が進んでいく可能性はあります。しかしながら筆者がこのような方法論を聞き出す質問話法をあまり良しとしない理由は、質問の目的が、営業パーソンが自社製品の売り込むタイミングを伺うことになっているからです。商談相手は、営業パーソンの売り込みたいという意識を敏感に感じ取るため、このような質問を商談の初期段階で行うと、あまり話してくれなくなる可能性があります。そういった意味でも、方法論よりもその目的などを聞き出す質問を筆者はお勧めしております。

今回ご紹介したことが、商談で質問がうまくできない方にとって参考になれば幸いです。


筧 裕介 プロフィール

トランスエージェント上海 総経理

愛知県出身 信州大学卒業

大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入団。
その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。

09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。

2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。


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