営業人のための一問一答で学ぶ!財務知識vol.6

第6回 なぜ「経理部」って営業のあら捜しばかりするんですか?

このコーナーでは、営業人の方にぜひ知っていただきたい会計・財務の基礎知識を、質問形式で解説します。皆さんが部下や後輩から同じような質問をされたとき、ちゃんと回答できるか、自問自答しながらお読みください。このコーナーを毎月コツコツと読み続けていただければ、気づいたときには会計・財務に強い営業人になっているはずです。

Q.経理部の人から「経費精算が違っている」「売上の計上が間違ってる」と、会計の間違いをよく注意されます。彼らはなぜいつも営業のあら捜しばかりするのですか?

経理部の人から間違いを指摘されると、「こっちは売上予算を達成するために必死で、そんなことをやっている暇はないのに!」と感じます。そこで、なぜ経理部が会計数字に目くじらを立てるのか、その理由を考えてみましょう。
そもそも「会計」とは英語の「accounting」の訳であり、「説明する」という意味があります。では、「会計」は誰に何を説明するのでしょうか。実は説明する相手が3人いるのです。
一人目は「経営者」です。これは、要するに社内会議の資料です。会議で毎月の売上高の推移や予算実績比較表などが配られます。これが会計の中でも「管理会計」という分野です。
二人目は「株主」です。これは、株主総会で経営陣が株主に対し、決算書をもとに業績の説明をすることです。これが会計のなかでも「財務会計」と言われる分野です。
三人目は「国」です。これは税務申告書のことです。今期はいくら儲かったのでいくらの法人税を支払います、と国に説明するわけです。これが会計のなかでも「税務会計」といわれる分野です。
このように経理部が業績を説明する相手は3人いるわけですが、その説明に間違いがあったら大変です。間違いがなぜ起こったのか、正しい数字はどれなのか、厳しく説明を求められるは「経理部」です。
会議資料におかしな数字があれば、それを集計した経理部が慌てて数字を計算し直します。株主総会で株主から決算数値がおかしいと質問が出れば、経理担当役員が慌てて資料を見直し説明します。税務署が調査に入ったら、矢面に立つのは経理部です。
このように考えると、会計数字について最終的に説明する責任を負う経理部が、営業部のちょっとした間違いに過敏になる気持ちも分かります。
営業部の皆さんが「なぜ売上予算が未達なんだ?」と詰められるように、経理部の皆さんも「この数字は間違いじゃないか!」と詰められるわけです。社長、株主、税務署から質問攻めにあって冷や汗をかいている経理部の皆さんを想像して、少し協力してあげましょう。


望月 明彦 プロフィール

トランスエージェント講師
特定非営利活動法人 日本交渉協会 常務理事

■公認会計士 ・ 交渉アナリスト

≪役職等≫
・ 望月公認会計士事務所 代表 (現任)
・ 日本交渉協会 常務理事 (現任)
・ ディップ株式会社監査役 (東証1部上場)(現任)
・ アイビーシー株式会社監査役(東証1部上場)(現任)
・ 日本公認会計士協会東京会 研修委員会 副委員長(2010~2014)
・ 経済産業省コンテンツファイナンス研究会 委員(2002~2003)

≪略 歴≫
早稲田大学政治経済学部卒。
監査法人トーマツを経て、慶応義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)修了。
その後、上場企業の経営企画部長として資本政策の立案・実施、合弁会社の設立、各種M&Aなどを手掛ける。
さらに、アーンストアンドヤングの日本法人にて上場企業同士の経営統合のアドバイザー等を務める。
2010年より望月公認会計士事務所代表。日本交渉協会常務理事。


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