営業人のための一問一答で学ぶ!財務知識vol.3

第3回 「業績予想の下方修正」って何ですか?

このコーナーでは、営業人の方にぜひ知っていただきたい会計・財務の基礎知識を、質問形式で解説します。皆さんが部下や後輩から同じような質問をされたとき、ちゃんと回答できるか、自問自答しながらお読みください。このコーナーを毎月コツコツと読み続けていただければ、気づいたときには会計・財務に強い営業人になっているはずです。

Q.最近、上場企業が「業績予想の下方修正」を発表し、株価が下がったという新聞の記事をよく見ます。業績予想って何のことですか?また下方修正ってどういうことですか?

新聞やテレビで、大企業の「業績の上方修正」や「業績の下方修正」のニュースが流れることがあります。この「上方修正」「下方修正」は、何を修正しているでしょうか。
上場企業は、決算短信(第2回「決算書」の記事をご覧ください)という決算書を発表しますが、そこに「業績予想」を記載します。つまり、今始まったばかりの新しい期(翌期)の売上や利益の予想値を記載するのです。
ところが、その決算短信を発表したのち、何か月も経過すれば、思っていたより売上が増えそうだ、または減りそうだ、利益が増えそうだ、減りそうだ、という具合に状況が変化します。そのときに、決算短信に記載した業績予想を変えるのが「業績予想の修正」です。
売上や利益が増える方向で修正すれば「上方修正」、逆に減る方向で修正すれば「下方修正」です。上方修正すれば株価は上がりますし、下方修正すれば株価は下がります。
また、上方・下方修正するのは、売上であれば予想値より「10%以上」、利益であれば「30%以上」の変化が見込まれる場合です。
なお、売上や利益の決算短信での予想値を、「80憶円~100億円」というように幅を持たせて発表している会社もありますし、経営環境の変化が激しいので業績予想の記載自体を控えるという会社もあります。特に最近は新型コロナウィルスの影響が予測できないため、業績予想の発表を差し控えている上場企業も多いようです。なお、決算短信を発表するのは上場会社だけですから、非上場会社は関係ありませんのでご注意ください。
さて、ここで質問です。
皆さんは取引先である上場企業の業績予想の修正発表をちゃんとホームページでチェックしていますか?常にホームページはチェックするようにした方が良いです。
なぜなら、その取引先が業績予想の上方修正を発表したら、さっそく営業に行き、今期は業績がいいそうですね、といって取引拡大を提案すべきだからです。

今日のキーワード:決算短信、業績予想、上方修正・下方修正


望月 明彦 プロフィール

トランスエージェント講師
特定非営利活動法人 日本交渉協会 常務理事

■公認会計士 ・ 交渉アナリスト

≪役職等≫
・ 望月公認会計士事務所 代表 (現任)
・ 日本交渉協会 常務理事 (現任)
・ ディップ株式会社監査役 (東証1部上場)(現任)
・ アイビーシー株式会社監査役(東証1部上場)(現任)
・ 日本公認会計士協会東京会 研修委員会 副委員長(2010~2014)
・ 経済産業省コンテンツファイナンス研究会 委員(2002~2003)

≪略 歴≫
早稲田大学政治経済学部卒。
監査法人トーマツを経て、慶応義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)修了。
その後、上場企業の経営企画部長として資本政策の立案・実施、合弁会社の設立、各種M&Aなどを手掛ける。
さらに、アーンストアンドヤングの日本法人にて上場企業同士の経営統合のアドバイザー等を務める。
2010年より望月公認会計士事務所代表。日本交渉協会常務理事。


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