営業人のための一問一答で学ぶ!財務知識vol.7

第7回 「英語と会計はビジネスパーソンの教養」ってどういう意味ですか?

このコーナーでは、営業人の方にぜひ知っていただきたい会計・財務の基礎知識を、質問形式で解説します。皆さんが部下や後輩から同じような質問をされたとき、ちゃんと回答できるか、自問自答しながらお読みください。このコーナーを毎月コツコツと読み続けていただけば、気づいたときには会計・財務に強い営業人になっているはずです。

Q.この前、知り合いから「英語と会計はビジネスパーソンの教養だ」って言われました。英語が必須なのは分かりますが、会計なんて分からなくても大丈夫ですよね。

「英語と会計はビジネスパーソンの教養だ」というフレーズをときどき耳にします。これは、英語と会計だけがビジネス界の「共通言語」だ、という意味なのです。
例えば、営業部、マーケティング部、人事部など様々な部署で、様々な専門用語が使われていますが、その多くは業界特有の言葉だったり、その会社特有の言葉だったりします。ですから、皆さんが使っている専門用語を社外の方に話しても、意外と通じないのです。
しかし、これは当たり前のことです。会社は、ライバル企業に勝つために、こっそり独自のノウハウをため込みますから、社内で使う言葉もオリジナルな方向に向かうのです。トヨタ自動車にはトヨタ自動車でしか通じない言葉がいっぱいあるはずです。
一方、「会計」は株主や投資家に対して会社の決算数値を説明するものですから、その用語の意味や使い方は法律やルールで統一されています。会社が独自の言葉で決算書を作ったら、株主は意味が分からなくて困ります。
だから、こんなことが起こり得ます。皆さんが会計の勉強を全くしないまま、営業でバリバリ成績をあげ、ついに取締役に昇進したとします。意気込んで取締役会に出席したところ、そこで交わされる会話に会計用語が普通に出てくるのです。社長や社外役員から意見を聞かれるときもあります。「ROEが低いが、何が原因だと思いますか?」と聞かれて、その会計用語の意味が分からないとは言えません。
また、株主総会を想像してください。株主から営業担当役員の皆さんに質問が出ます。「総資産回転率が低いが、無駄な資産が多いのか、それとも営業効率が悪くて売上が低迷しているのか?」このとき株主に、総資産回転率って何ですか?とは聞けません。
しかし、皆さんは営業担当ですから、経理部や財務部のように会計のプロになる必要はありません。あくまで「恥をかかない程度」に理解すればよいのです。ある程度基礎的な理解があれば、知らない会計用語が出てきても堂々と聞き返せます。少しずつでも会計の基礎知識を身につけて、「教養のある営業人」を目指しましょう。


望月 明彦 プロフィール

トランスエージェント講師
特定非営利活動法人 日本交渉協会 常務理事

■公認会計士 ・ 交渉アナリスト

≪役職等≫
・ 望月公認会計士事務所 代表 (現任)
・ 日本交渉協会 常務理事 (現任)
・ ディップ株式会社監査役 (東証1部上場)(現任)
・ アイビーシー株式会社監査役(東証1部上場)(現任)
・ 日本公認会計士協会東京会 研修委員会 副委員長(2010~2014)
・ 経済産業省コンテンツファイナンス研究会 委員(2002~2003)

≪略 歴≫
早稲田大学政治経済学部卒。
監査法人トーマツを経て、慶応義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)修了。
その後、上場企業の経営企画部長として資本政策の立案・実施、合弁会社の設立、各種M&Aなどを手掛ける。
さらに、アーンストアンドヤングの日本法人にて上場企業同士の経営統合のアドバイザー等を務める。
2010年より望月公認会計士事務所代表。日本交渉協会常務理事。


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