営業力強化 パーソナルスキルvol.15

本コラムは営業経験が2年から5年程度のB to B営業人材を対象にお送りするコラムです。時代の流れとともに営業のやり方は変わっていきますが、営業の本質である「量×質」という法則についてはいつの時代も変わりません。本コラムでは、営業力強化につながるパーソナルスキルについてお伝えしていきます。

前々回より、目標達成体質となるために必要なパーソナルスキルについてお伝えしております。第3回となる今回は、優先順位設定スキルについて解説します。

優先順位設定スキルを身につける前提条件として、案件情報の正確性と鮮度が保つ習慣が身についていることが挙げられます。優先順位設定は、自身が持っている全ての案件情報を元に行います。その案件の受注予定金額が正しいのか、またそもそもその案件がまだ存在しているのかなど、正確性と鮮度が保たれていないと正しい判断を行うことができません。最低でも週に1回は全ての案件情報を更新するようにしましょう。筆者は、以前は週1回の更新でしたが、現在は毎日更新しております。

その上で
①重要度決定のための基準
②緊急度決定するための情報取得
③全体を俯瞰して優先順位をつける
のプロセスを踏んで優先順位づけを行います。

①重要度を決定するための基準
まず、重要度を決定する要素を決めて、その高低を分ける基準を決めます。
重要度の要素はさまざまありますが、自身が目標設定した内容に即して設定する必要があります。筆者が考えられる例として、次の3つが挙げられます。

1.受注金額(粗利額)
経験の有無に関係なく、販売している製品の単価×需要数量を元に受注金額(粗利額)を簡単に算出できる一方で、受注確率が無視されてしまう可能性があります。
2.受注見込(受注確率)
筆者は、現在この内容を重要度の基準としております。確実に受注できる案件から取り組めるため、効率的な営業活動ができる一方で、受注見込の付け方に正確性が求められるので、若手営業パーソンには難しい可能性があります。
受注見込みの付け方については、本コラムの第1回(https://eigyojin.com/2020/07/13/personal-skill-001/)に掲載しております。
3.製品・サービスの戦略性
注力している製品・サービスや、競合他社よりも優位性のある製品・サービスを提案している案件の重要度を高くするというやり方です。戦略製品・サービスの重要度を高めて絞って提案活動をすることで、提案に必要な工数が削減されて、営業効率が上がるというメリットがある一方で、度が過ぎると自社視点に陥り顧客のニーズに寄り添えず中長期的なビジネスの種を見つけられないという側面があります。

次に、重要度の高低を分ける基準を決めます。基準を決定する際には、主観を取り除くようにしましょう。上記1.の受注金額であれば、100万円を基準にそれ以上を高、それ未満を低とするとするなど具体的な数字を基準とします。2.の受注見込については、パーセンテージを基準にすることができますが、先程申し上げたとおり見込みの付け方は客観性が担保されないことがあるので、運用に気をつけましょう。3.については、製品Aを高、それ以外を低と誰でも同じ判断ができる基準を決めます。

実践する際には、営業パーソンの主観が邪魔をして、基準が当初決めたことからぶれてしまうことが発生します。しかしながら、営業パーソンは限られた時間で成果を上げる仕事ですので、ある程度の割り切りも重要です。

②緊急度決定するための情報取得
産業財市場においては、顧客が発注先を決定するにあたってスケジュールを組んでいます。
一般的に顧客の購買決定プロセスは、【情報収集→課題設定→業者決定→最終仕様確定→導入開始】と言われています。顧客が業者決定の時期をいつに設定しているか、これが緊急度を決定する指標となります。
営業パーソンは、緊急度を決定するためにも常に業者決定の時期がいつに設定されているのかを顧客に確認しておく必要があります。

③全体を俯瞰して優先順位をつける
優先順位をつける際に参考となるのが、緊急×重要のマトリクスです。
縦軸に緊急度、横軸に重要度をとり、それぞれの軸に高・低とつけて4つのマトリクスを作ります。
どんな方も【緊急度高×重要度高】の案件を最優先にすると思われます。次に取り組む案件を【緊急度低重×重要度高】とするか、【緊急度高×重要度低】とするかで分かれる思われますが、【緊急度低×重要度高】を優先すべきです。
なぜなら、目標達成に近づく要素を重要度に据えているからです。重要度を受注金額(粗利)としているのに、緊急度高×重要度低の優先順位を高くしてしまうと、受注金額(粗利)が低い仕事に追われてしまい労多くして功少なしになってしまう可能性があります。

そんなことは当たり前だと思う方が多いと思われますが、言うは易く行うは難しです。意識的にやらないと、どうしても緊急度を優先してしまいます。正しく優先順位をつけるためにも、案件全体を俯瞰する時間を割くようにしていただけたらと思います。

優先順位を決定するスキルは、どんな方でも時間を割くことさえできれば身につけられるスキルだと思います。ぜひ、優先順位付けに苦手意識を持たれている方は、時間を割いて今回ご紹介したプロセスを実践いただけたらと思います。

この内容が優先順位付けに苦手意識を持たれている方の参考になれば幸いです。


筧 裕介 プロフィール

トランスエージェント上海 総経理

愛知県出身 信州大学卒業

大学卒業後役者となるため劇団ひまわりに入団。
その後は舞台を中心にドラマ、レポーター、イベントMCなど多岐にわたって活動をする。

09年トランスエージェントに参画し、同年7月末に上海赴任。
10年には営業人材適性診断「王牌」や営業人材向け勉強会「王牌商道会」を立ち上げ、中国日系企業の営業人材の採用・育成のサポートを開始する。

2014年に総経理に就任し、現在は産業材市場に特化したウェブマーケティング支援及び営業組織管理支援(SFA導入)まで事業領域を拡大し、中国進出日系企業に対してB to B営業・マーケティング支援事業を展開している。


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