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営業人のための一問一答で学ぶ!財務知識

Vol.5 「社外役員」ってどういう人ですか?

営業人のための一問一答で学ぶ!財務知識vol.5

第5回 「社外役員」ってどういう人ですか?

このコーナーでは、営業人の方にぜひ知っていただきたい会計・財務の基礎知識を、質問形式で解説します。皆さんが部下や後輩から同じような質問をされたとき、ちゃんと回答できるか、自問自答しながらお読みください。このコーナーを毎月コツコツと読み続けていただけば、気づいたときには会計・財務に強い営業人になっているはずです。

Q.毎月の取締役会の前日は、営業資料の準備で大変です。ところで、この取締役会のときだけ会社にやって来る社外役員というおじさんとおばさん、彼らは一体誰ですか?

 社外取締役と社外監査役のことを「社外役員」と言いますが、実は彼らには重要なミッションがあるのです。それは、「社長のお目付け役」というミッションです。つまり社長が変な経営をすることがないよう見張る役目を持っているのです。
 ここで、ちょっと想像してみましょう。
 大金持ちの皆さんのもとに、経営者のA社長が現れ、「こんな画期的な製品のアイデアがあるのですが出資してくれませんか?」と言います。
 皆さんは、A社長の会社に出資し、株主になりますが、その後、A社長からは音沙汰がなくなります。がんばって従業員を雇って製品を作っているんだろうと信じつつ、やっぱり気になります。A社長は自分が振り込んだお金で毎日遊んで暮らしているんじゃないか?趣味のような製品開発を始めているんじゃないか?
 そこで、A社長を取り巻く取締役・監査役の顔ぶれを思い出してみると、全員が社長の部下です。おそらくA社長のYesマンばかりです。これでは、A社長の暴走を止められないんじゃないかと思います。
 そこで皆さんは、A社長を見張るために、他の会社の経営者や弁護士、公認会計士、大学教授などを社長のお目付け役として役員に任命することにします。それが社外役員です。
 社外役員はみな本業がありますから、社長に堂々と文句を言えます。「そんな投資は危ない。もっと慎重に検討した方がいい」といった具合です。
 社内役員はクビになったら困りますから、社長に面と向かって口答えはできませんが、社外役員は平気です。ほかに本業がありますから、いつでもクビになって構わないのです。
 さて、このように話してくると、営業の皆さんにとって社外役員は無関係な存在のように思えますが、そんなことはありません。もし皆さんの会社の社長や経営幹部が、怪しい経営を始めたり、パワハラ・セクハラ・粉飾決算のようなことをやったりしていたら、社外役員に告げ口すれば良いのです。きっと会社を守るために動いてくれるはずです。


望月 明彦 プロフィール

トランスエージェント講師
特定非営利活動法人 日本交渉協会 常務理事

■公認会計士 ・ 交渉アナリスト

≪役職等≫
・ 望月公認会計士事務所 代表 (現任)
・ 日本交渉協会 常務理事 (現任)
・ ディップ株式会社監査役 (東証1部上場)(現任)
・ アイビーシー株式会社監査役(東証1部上場)(現任)
・ 日本公認会計士協会東京会 研修委員会 副委員長(2010~2014)
・ 経済産業省コンテンツファイナンス研究会 委員(2002~2003)

≪略 歴≫
早稲田大学政治経済学部卒。
監査法人トーマツを経て、慶応義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)修了。
その後、上場企業の経営企画部長として資本政策の立案・実施、合弁会社の設立、各種M&Aなどを手掛ける。
さらに、アーンストアンドヤングの日本法人にて上場企業同士の経営統合のアドバイザー等を務める。
2010年より望月公認会計士事務所代表。日本交渉協会常務理事。


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