Vol.21 あなたと会社。どちらの税率が高いと思う?って聞かれたんです
このコーナーでは、営業人の方にぜひ知っていただきたい会計・財務の基礎知識を、質問形式で解説します。皆さんが部下や後輩から同じような質問をされたとき、ちゃんと回答できるか、自問自答しながらお読みください。このコーナーを毎月コツコツと読み続けていただけば、気づいたときには会計・財務に強い営業人になっているはずです。
Q.「経理部の友人から、あなたと企業のどちらが税率が高いと思う?って聞かれたんです。そもそも僕の税率って何%なんだろう?」
前回の第21回では経常利益の下に特別利益と特別損失が記載されていることを説明しました。以下の損益計算書のとおり、経常利益に特別利益を加え、特別損失を差引くと、税引前当期純利益が計算され、ここでは税引前当期純利益は100万円となっています。
さて、この税引前当期純利益の意味を考えてみますと、もう読んで字のごとしです。税金を払う前の利益なので、税引前当期純利益の下に税金がでてきます。法人税等30万円です。
この法人税等とは、法人税、住民税、事業税のことを指しており、いずれも会社の利益に対して課される税金です。赤字なら払わなくてよい税金ということです。
では、この会社は、稼いだ利益「税引前当期純利益100万円」に対して何%の税金を払っていますか?30万円÷100万円で30%です。このパーセントを実効税率ということがあり、日本の会社の実効税率はおおむね30%~33%の間ぐらいと言われます。会社は意外と税金をたくさん払っているのです。一方、この実効税率をもっと下げるべきという意見もあります。そうしないと、稼いでいる大企業が実効税率の低い海外に逃げてしまうというのです。
ところで、皆さんは何%の所得税を払っていますか?実は多くのビジネスパーソンが所得税を源泉徴収されてしまうため自分の税率を知らないということが多いのです。是非一度、自分の年収と、払っている所得税から、自分の実効税率を計算してみるとよいでしょう。もし、この税率が高すぎる!と思ったら、海外に逃げるのも手かもしれませんね。
望月 明彦 プロフィール
トランスエージェント講師
特定非営利活動法人 日本交渉協会 常務理事
■公認会計士 ・ 交渉アナリスト
≪役職等≫
・ 望月公認会計士事務所 代表 (現任)
・ 日本交渉協会 常務理事 (現任)
・ ディップ株式会社監査役 (東証1部上場)(現任)
・ アイビーシー株式会社監査役(東証1部上場)(現任)
・ 日本公認会計士協会東京会 研修委員会 副委員長(2010~2014)
・ 経済産業省コンテンツファイナンス研究会 委員(2002~2003)
≪略 歴≫
早稲田大学政治経済学部卒。
監査法人トーマツを経て、慶応義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)修了。
その後、上場企業の経営企画部長として資本政策の立案・実施、合弁会社の設立、各種M&Aなどを手掛ける。
さらに、アーンストアンドヤングの日本法人にて上場企業同士の経営統合のアドバイザー等を務める。
2010年より望月公認会計士事務所代表。日本交渉協会常務理事。