営業人のための一問一答で学ぶ!財務知識vol.9

第9回 会社は赤字になると倒産ですか?

このコーナーでは、営業人の方にぜひ知っていただきたい会計・財務の基礎知識を、質問形式で解説します。皆さんが部下や後輩から同じような質問をされたとき、ちゃんと回答できるか、自問自答しながらお読みください。このコーナーを毎月コツコツと読み続けていただければ、気づいたときには会計・財務に強い営業人になっているはずです。

Q.「会社が倒産したって記事をテレビで見ますが、赤字になると倒産ですか?でも、上場会社でも赤字になりますよね。」

テレビや新聞で大企業の倒産のニュースをみることがありますが、「赤字になると倒産」と勘違いしている方が意外と多いのです。
赤字というのは、利益がマイナスのことを言いますが、もし、赤字になったら倒産だとしたら、日本のほとんどの会社が一度は倒産しているはずです。会社を創業した1年目からずっと黒字を出し続けるなんて大変なことですから。
ここで、倒産の意味を理解するために、ある家庭を想像してみましょう。
深夜、お母さんがノートに今月の支出を書き出し、電卓をたたいて、頭を抱えて言います。「あ~だめ、今月も赤字だわ。」
どうやら、今月も給料より支出のほうが多かったようです。でも、この家庭は貯金を取り崩して、何とかやっていくでしょう。
では、この家庭はどうでしょうか。お父さんが言います。「大変だ。会社をクビになった。もう来月からは給料がなくなるぞ。」お母さんが真っ青な顔をして言います。「来月の住宅ローンの支払いはどうするの?貯金なんてないわよ。ローンを払えなかったら自己破産よ!」
この自己破産が企業でいうところの「倒産」です。一般に、倒産というのは、銀行借入を返済できなかった場合などを言います。(振り出した約束手形が不渡りになった場合等も倒産です)
すなわち、どんなに売上が低迷して、赤字が続いても、銀行からの借入をちゃんと返済できているうちは倒産しないのです。一方、たとえ黒字でも、銀行借入の返済日に資金を用意できなかったら、場合によっては倒産です。これが「黒字倒産」なのです。
このように考えてみると、家庭も企業と同じです。身の丈に合わない家を買ったり、贅沢をするために無理に借金をしたりした瞬間から倒産(自己破産)のリスクが生まれるのです。
逆に言えば、どんなに給料が少なくても、借金などせずに、給料の範囲での生活で辛抱すれば、自己破産することなく、ただ「ちょっと貧しい」だけで済むのです。


望月 明彦 プロフィール

トランスエージェント講師
特定非営利活動法人 日本交渉協会 常務理事

■公認会計士 ・ 交渉アナリスト

≪役職等≫
・ 望月公認会計士事務所 代表 (現任)
・ 日本交渉協会 常務理事 (現任)
・ ディップ株式会社監査役 (東証1部上場)(現任)
・ アイビーシー株式会社監査役(東証1部上場)(現任)
・ 日本公認会計士協会東京会 研修委員会 副委員長(2010~2014)
・ 経済産業省コンテンツファイナンス研究会 委員(2002~2003)

≪略 歴≫
早稲田大学政治経済学部卒。
監査法人トーマツを経て、慶応義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)修了。
その後、上場企業の経営企画部長として資本政策の立案・実施、合弁会社の設立、各種M&Aなどを手掛ける。
さらに、アーンストアンドヤングの日本法人にて上場企業同士の経営統合のアドバイザー等を務める。
2010年より望月公認会計士事務所代表。日本交渉協会常務理事。


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